建設コンサルタントとは?

私たちの生活基盤は社会資本(インフラ)によって支えられています。ここでは、私たちが不自由なく生活していくために欠かせない建設コンサルタントという仕事がどのような役割を担っているのかご紹介いたします。

建設コンサルタントの役割

■建設コンサルタントとは

建設コンサルタントとはインフラ全般に関して総合的にプロデュースやアドバイスをし、クライアントをサポートする役割を担っています。

私たちの安全・安心・便利・快適な生活や経済活動は、道路、鉄道、港、空港、上・下水道、河川、ダム、公園、エネルギー供給施設、通信施設、廃棄物処理施設などのほか、公共・公益的な構造物やさまざまな制度に支えられており、これらを「社会資本」(インフラ)と呼びます。社会資本整備は、一般的には事業主体である国や地方自治体などの発注者、建設コンサルタント、建設会社の三者が中心となって進められます。

■建設コンサルタントの立ち位置

建設コンサルタントは、国民が必要とする良質で安全な社会資本を提供するために、発注者の技術パートナーとして、企画・計画・調査・設計・施工管理・維持管理など、建設事業の全般にわたって幅広い業務を行っています。建設会社は、建設コンサルタントが行った設計に基づいて工事を行います。

建設コンサルタントの仕事は、その成果の良し悪しが、建設される施設の品質とコストに大きな影響を与えるため、高度な技術力が求められています。頻発する自然災害、深刻化する地球環境問題、社会資本の老朽化など山積する社会的課題の解決に向けて、建設コンサルタントは重要な役割を担っています。

建設コンサルタントの仕事内容

■建設コンサルタントの具体的な仕事内容とは

上でもご紹介したように、建設コンサルタントはクライアントのパートナーとして、建設事業をプロデュースしています。
建設事業の工程は、企画から始まり、計画、調査、設計、施工、管理という順で進められます。建設事業は「設計・施工分離の原則」に基づき、施工は建設業、計画・調査・設計は建設関連業とされており、建設コンサルタントは後者の建設関連業に該当します。

■仕事の流れ

では、建設コンサルタントの仕事がどのような流れで進んでいくのか、作業フローをご紹介いたします。

  • 1. 発注者(国や地方自治体など)から依頼を受ける
  • 2. 企画立案(基本方針や事業概要、企画構成の策定)
  • 3. 計画策定(図面や地形データに基づき建設計画を策定)
  • 4. 調査(環境を保全するために交通量調査、濁水(水質)調査、河川占用実態調査などを実施し、環境に与える影響を考える)
  • 5. 設計(工事に必要な全体の設計図を作成)
  • 6. 施工管理(工事は施工業者が行う)
  • 7. 維持管理(点検や長寿命化に向けた維持管理計画、補修計画、修繕工事など)

上記が大枠での一般的な作業フローになります。

建設コンサルタントの魅力

■魅力① 人々の生活を支えるために社会から求められている仕事であること

私たちの日常は、電気・ガス・水道や道路、鉄道などの社会資本によって成り立っています。当たり前にあるものだからこそ普段意識しながら生活している人は少ないかもしれませんが、その当たり前の便利な生活を作っているのが建設コンサルタントです。

■魅力② 未来に残るインフラ

安全・安心に暮らせるまちづくりを目指して自分たちが作ったものが、人々の生活と共に未来に残ることはとても魅力的で大きな喜びになります。一時的なものではなく、災害から人々を守るための設備など、将来の課題まで考えた取り組みで社会に貢献できることが醍醐味です。

■魅力③ 業務内容が幅広く専門性が高いことのやりがい

上でもご紹介したように、建設コンサルタントは建設事業において多くの工程に関わります。その分、とても専門的な分野であり高度で幅広い知識も必要になります。大規模な建設であれば長期スパンのプロジェクトになるので、時間と手間をかけたものが出来上がったときの達成感も大きな魅力です。

建設コンサルタントの選び方

社会資本整備の品質は、建設コンサルタントの品質によって左右されると言っても過言ではありません。「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(品確法)によると、「公共工事の品質確保に当たっては、公共工事に関する調査及び設計の品質が公共工事の品質確保を図る上で重要な役割を果たすものであることにかんがみ、前各項の趣旨を踏まえ、公共工事に関する調査及び設計の品質が確保されるようにしなければならない。」と定められているため、調査や設計を担っている建設コンサルタントの品質は極めて重要であるといえます。

よって、建設コンサルタント会社に依頼する際は価格だけではなく、確かな技術を持っているかがポイントになります。
選定方法としては以下の2つが代表的です。

■プロポーザル方式

プロポーザル方式とは特定のテーマに基づいて複数社が企画を提出し、その中から最も適した建設コンサルタントを選ぶ方式です。対象企業は公募の場合もあれば指名の場合もあります。評価のポイントとしては、価格よりも提案内容や技術力が重視されるため、質の高さが期待できます。

■総合評価落札方式

技術面を重視するプロポーザル方式に対して、総合評価落札方式は価格面と技術面の両方を総合的に評価する方法です。価格評価点と技術評価点を加算して評価値とし、入札価格が予定価格の制限の範囲内にあるもののうち、評価値の最も高いものが落札者となります。発注者にとって最も有利な者を落札者とする方式です。

まとめ

建設コンサルタントは社会資本整備にとって切っても切れない存在であることがお分かりいただけたかと思います。
今後も新たな公共事業や都市開発などが進みニーズが多様化するにあたって、建設コンサルタントの需要や重要性は高まることが予想されます。

「人を想い 社会を創る」人々の暮らしに想いを馳せ、技術の力を発揮することが建設コンサルタントの使命です。建設技術研究所は、日本で最初の建設コンサルタントとして、70年以上にわたってこの想いのもと、歩んできました。行政のパートナーとして国土づくりを支えるとともに、学協会活動にも積極的に取り組み、建設コンサルタントの地位向上に貢献してきた、業界のリーディングカンパニーであると自負しています。

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