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2017.12.19

土木学会デザイン賞2017最優秀賞を受賞しました ~アザメの瀬自然再生事業~

技術・研究

 2001年に自然再生推進法が成立し、国土交通省河川局においても自然再生事業が始められることになりました。その、最初のプロジェクトの一つが「アザメの瀬自然再生事業」です。
 アザメの瀬は、佐賀県の松浦川の中流部に位置し、左岸側には立派な堤防がありますが、右岸のアザメの瀬地区は無堤地区であり、毎年のように氾濫に見舞われる地区でした。
 アザメの瀬の治水対策は堤防方式や買収方式などさまざまな手段が検討されましたが、最終的に用地買収により河川敷地内に遊水区域として取り込むことが決まりました。
 自然再生事業は、地域の要望があり、地域と十分に話し合ってそして地域の盛り上がりにより実現するものです。このような話し合いの中から出された事業目標が氾濫原生態系の回復です。
 氾濫原生態系の特徴は、出水により洪水、土砂、栄養塩、有機物、生物などが河川から移動、拡散することによって成りたっている生態系です。つまり、氾濫原では氾濫の頻度と攪乱が重要です。よって川から氾濫流が湿地に流れ込む氾濫原生態系の仕組みの再生を試みた事業です。
 事例がない事業ですので、仮説と検証を行い、管理方法も順応的管理という考え方が取り入れられました。このようにして現在も地域の維持管理などにより愛される場所となっています。
 
 当社では、氾濫原的湿地の目標達成の考え方の検討、棚田やため池、クリークなど各所のデザイン形状検討から実施設計、工事中および完成後の環境モニタリング、工事誌を担当しました。完成後、10年以上の時を経て、土木学会デザイン賞2017の最優秀賞を受賞できたのは、自然が再生するに必要な時間と地域の人から愛されることにこれだけの時間を要することが、現時点で評価していただけたものと考えています。

アザメの瀬縮小.jpg

アザメの瀬