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2018.02.27

ハクバサンショウウオの生息地確認で環境DNAの有効性を実証しました。

技術・研究

 株式会社建設技術研究所、株式会社環境総合リサーチおよび神戸大学(源利文准教授)からなる研究グループは、環境DNA(※後述参照)によるハクバサンショウウオの生息地の把握を試みました。2017年9月、北陸地方のハクバサンショウウオ生息域内において、採捕調査ならびにサンショウウオ属に共通のプライマーを用いて環境DNA調査・分析を行ったところ、ハクバサンショウウオが採捕された20地点中17地点において、ハクバサンショウウオのDNAが検出されました。
 ハクバサンショウウオは、環境省レッドリスト2017の絶滅危惧IB類(近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの)に指定されています。亜高山帯に生息し、繁殖期には落ち葉や泥が堆積した緩やかな流れのある環境に産卵し、非繁殖期は倒れた木や落葉の下に潜むため、確認が困難な種です。調査方法によっては、生息環境や生息個体そのものに大きな影響を与えるおそれがありますが、環境DNAは採水だけで調査が可能であるため、環境や個体への負荷を軽減させることができます。

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ハクバサンショウウオの成体 / ハクバサンショウウオの生息環境

 

  今回の調査結果により、環境DNAが環境調査における時間的・経済的負担の軽減や、生物の生息環境の保全に役立つことが実証されました。今回はサンショウウオ属に共通のDNA配列を利用した解析でしたが、今後はハクバサンショウウオ固有のDNA配列を明らかにし、調査の精度を高める予定です。また、個体や環境に配慮した簡便な調査手法として、環境DNA調査を建設事業の保全対策へ活用することを目指していきます。
 当社は、このような環境DNAに関連する技術を各種フィールドに展開すべく、今後も大学と連携しながら環境DNA技術の向上、普及に努めていきます。

※環境DNAとは、海・川・湖沼などの水に含まれる生物のDNAです。環境DNAを分析および解析することで、そこに生息する生物の種類やおよその生物量の把握が可能です。環境DNAを用いた調査は採水だけで可能であるため、これまで環境調査にかかっていた労力や、環境への負荷を減らすことができる画期的な調査方法として注目されています。

【環境DNAイメージ】

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