2021.03.16
技術・研究
株式会社建設技術研究所(代表取締役社長:中村哲己)は、都市で発生する可能性がある災害等に対して都市機能を維持・継続するための「共助」に係わる「防災エリアマネジメント」の手引きを策定しました。官民を含む多様な施設管理者による活動を支援します。
1.背景
近年、風水害が頻発し、切迫性が高く甚大な被害が想定される大規模地震の発生、およびそれらの複合災害も想定されています。都市においては、地下通路、地下街、地下鉄が広く分布しており、大規模水害が発生した場合の地下空間への浸水防止と人命・資産の安全の確保は大きな課題となっています。また、安心して住みやすいまちづくりの観点から、まち全体での防犯対策も必要です。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、災害時における避難者や滞留者の防疫対策が必要であることも明らかになりました。
こうした分野では、「公助」だけでは対策に限界があり、官民を含む多様な施設管理者が連携した「共助」の活動が重要となっています。
2.当社の取り組み
2018年より都市安全に関する研究チームを立ち上げ、中央区の日本橋・八重洲地区をはじめとする首都圏内をフィールドとして、地域の開発事業者や施設管理者とともに、防災・防犯・防疫に関するエリアマネジメントについて、実態調査、意見交換、検討を重ねてきました。
横浜みなとみらい地区における滞留者支援(帰宅困難者受入)の検討事例
(災害時における要配慮者の受入や防疫対策についても検討)
3年間の研究成果として、都市域のハード・ソフト面での安全確保に資するため、「防災エリアマネジメント推進の手引き」を作成しました。この手引きに基づいて当社が支援する対象は、以下の主体を想定しています。
【支援対象】
3.今後の展開
当社は、この手引きを活用して、都市基盤整備、再開発事業、防災拠点施設整備などにおいて、災害リスクを低減・回避し、各施設の機能を継続・早期回復可能な計画を提案します。総合建設コンサルタントとして、シングルハザードから多災害・複合災害といった幅広い災害リスクへの対策に係る計画技術や知見を活かし、官民を含む多様な施設管理者が連携した防災エリアマネジメント活動を支援していきます。
手引きの概要については、以下の【別紙:「防災エリアマネジメントの手引き」(抄)】をご覧ください。
別紙:「防災エリアマネジメントの手引き」(抄).pdf
【参考情報】防災エリアマネジメントに関する技術図書の執筆・編纂協力事例
日本都市計画学会誌 349号 特集「東日本大震災,復興 10年の到達点とこれから」
「都市復興・エリアマネジメントに関する法制度・施策の系譜 ─ 東日本大震災以降の既往災害を踏まえた施策展開」/前川 裕介
https://www.cpij.or.jp/com/edit/info.html