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2022.05.10

空港除雪の省力化・自動化に向けた実証実験に参加し、運転支援ガイダンスシステムの有効性を確認しました。

技術・研究

 株式会社建設技術研究所(本社:東京都中央区、代表取締役社長:中村哲己)は、国土交通省航空局が2021年10月に公募を開始した「自車位置測定技術を用いた運転支援ガイダンスシステム」の参加者として選定され、2022年2月に実証実験を行いました。この度、本実証実験の結果が公開されましたのでお知らせします。

 現在、空港での除雪作業の労働力不足が懸念されており、省力化・自動化が求められています。
 空港除雪の省力化・自動化のために重要な自車位置測定技術について、稚内空港の制限区域内において、除雪車両に自車位置測定技術を用いた運転支援ガイダンスシステムを搭載し、積雪や降雪などの条件下で実証実験を行い、実装に向けた課題の抽出を行いました。
 当社は、アイサンテクノロジー株式会社(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:加藤 淳)、および、株式会社マップフォー(本社:愛知県名古屋市、代表取締役:橘川 雄樹)と共に、廉価なGNSS/IMUの複合航法による位置推定手法を用いて実証実験に参加し、高精度な自己位置測定を実現した検証結果を報告いたしました。本検証結果については、他実証実験参加者2件の結果と併せて開示されております。
 今後も自己位置情報に関わる実証実験への取り組みを実施すると共に、システムの品質改善を重ね、実装に向けたサービスの提供を目指しています。今回得られた知見をもとに、現在の分野にとどまらない幅広い分野に技術の適用を進め、より良いサービス提供に努めてまいります。

■実証実験のまとめ
・自車位置測定技術については、除雪車に設置しても期待される精度を確保することが出来た。
・表示する地図情報に対してリアルタイムに、測位した自車位置を表示することが出来た。
・実験に参加したオペレータへヒアリング・アンケートを実施したところ、支障物を表示端末により確認できることから、省力化に対して有効であるという意見であった。
・実験に参加したオペレータへのヒアリング・アンケート、実験参加者へのヒアリングから、 以下のような課題があった。

使用者課題 車内表示端末の設置位置 (運転操作の邪魔にならずに見やすい位置への設置が必要)
実装課題 車外に設置する測位アンテナ等の設置場所と設置方法 (滑走路・誘導路等を走行することから位置測位に支障がない場所へ確 実に固定することが必要)
技術課題 危険通知の信頼性 (オペレータが安心して作業が可能なように確実に機能することが必要


■実証実験の概要

1.実証日程:2022年2月14日(月)~2月18日(金)

2.実施内容:稚内空港において、実運用している除雪車両に運転支援ガイダンスシステムを搭載し、制限区域(滑走路等)を走行したうえで、運用上の課題検証(安全面・実用性等)を実施

3.実証実験の実施体制

株式会社建設技術研究所 Eagleyeによる自己位置推定精度検証、成果報告とりまとめ
アイサンテクノロジー株式会社 Eagleyeによる自己位置推定精度検証、実施計画、成果報告とりまとめ
株式会社マップフォー Eagleyeによる自己位置推定精度検証


4.実証実験の提案内容(運行支援ガイダンスシステムの提案)
<①GNSS/IMU複合航法システム>
・GNSS受信機、IMU(慣性計測装置)、および車両から得られる車速を複合し、車両の走行軌跡及び
 絶対座標値を算出する手法を用いることで、自車位置をより正確に測定
・同システムを搭載した他車両の位置データをWi-Fi経由で受信し、同じ地図上に表示

<②ガイダンスモニターの表示内容>
・あらかじめ作成した空港内の地図上に、位置情報を付与した空港内設備を配置したうえで、リアルタイムに自車位置情報を重畳して表示
・自車位置と地物の接近を計算してアラームを表示
・車両進行方向(除雪作業方向)を表示
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図 ガイダンスモニターの設置状況   出典:国土交通省ウェブサイト

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図 ガイダンスモニターの概要    出典:国土交通省ウェブサイト


<③危険通知機能の設定>
・自車両が空港内設備又は、他車両へ接近した場合のアラーム設定
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図 危険通知機能の設定    出典:国土交通省ウェブサイト

5.検証結果:性能や正確性などを検証した結果、運転支援ガイダンスシステムの有用性や導入にむけた課題が確認されました。
 詳細は以下を参照ください。
 ■第6回空港除雪の省力化・自動化に向けた実証実験検討委員会
 配布資料:【資料2】「実証実験結果の報告について」

6.使用機材:Eagleye(イーグルアイ)、LidarGNSSアンテナ・受信機、IMU、ホイルパルスセンサー

【補足資料】Eagleye(イーグルアイ):高精度位置推定システム
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Eagleyeは、株式会社マップフォーと名城大学/目黒研究室と共同開発をしたGNSS/IMU位置推定システムです。 従来のGNSS/IMUを用いた位置推定システムは、高価なセンサが必要とされ、システム導入には大きなコストが掛かっていました。Eagleyeは、GNSSドップラーの活用や、センサデータの誤差補正等のアルゴリズムを活用することにより、ローコストなセンサを使用した場合でも高価なシステムと遜色無い、位置推定精度を実現しました。
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