1. HOME
  2. 事業案内
  3. CTIナビ
  4. 第19回 マネジメント分野

CTIナビ 〜技術分野エキスパートに聞く〜

第19回 マネジメント分野

建設プロジェクトの頼れるコーディネーターとなる

東北支社 CM室長能登屋 章

Profile

入社年:1999(平成11)年3月キャリア入社
略歴:大学では構造系研究室に所属し、BEM(Boundary Element Method)の研究に従事する。前職のゼネコンでは、入社時に電算系の部署に配属され、4年ほど現場のOA化支援を担当。さまざまなシステムを現場に展開した。その後、宅地造成、上水道管路のシールドトンネル、地下鉄車両基地の現場を経験。さらに、さいたま新都心アリーナ直下を通る首都高の現場(開削トンネル)も担当。当社入社後間もなく、2年ほど東北地方のCM試行業務に携わる。その後、2000(平成12)年に本社に設置されたマネジメント事業部に異動し、各種の財団法人が発注する業務を担当する。2009(平成21)年の機構改革により、マネジメント事業部が東京本社マネジメント技術部となり、主に工事の施工歩掛や資材単価、間接工事費諸経費率等の調査・分析業務に携わる。2014(平成26)年に東北支社CM室長に就任し、現在に至る。
専門:公共工事における工事費の積算・分析、CM全般
趣味:料理。クックパッドの会員にもなっていて、和食、洋食、中華など、あらゆるジャンルに腕を振るう。

マネジメント分野における当社のこれまでの取り組みについて

 当社のマネジメント分野には、大きく分けて①入札契約や品質確保に係る制度設計(仕組みつくり)、②工事費算定に係る基準作り、③公共事業の執行を支援するCM(Construction Management)の3つの流れがありますが、当社のマネジメント分野が手掛けてきた、それぞれの流れの概要は以下のとおりです。
(1)入札契約や品質確保に係る制度設計
 我が国の公共工事の施工者選定方式が指名競争入札から一般競争入札へ転換し、特に2005(平成17)年3月に「公共工事の品質確保の促進に関する法律」が制定されて以降、発注者の責任において品質を確保できる業者を選定することが重要となりました。その入札契約の仕組み作りとして総合評価落札方式の制度設計を支援してきました。
 また、企業評価や工事成績に係る手法の検討や品質を確保するための監督検査に係る手法の検討などにも従事しました。
(2)工事費算定に係る基準作り
 工事費の積算は、工事を発注する際の予定価格を設定するために必要となるものですが、労務、機械、材料、諸経費といった様々な要素から積みあがっています。このうち当社では、従来、公益法人が担ってきた各種基準作りのための調査、分析業務を手掛けてきました。
 労務や資材の単価調査、施工歩掛や工事用機械損料の調査・分析、共通仮設費や現場管理費など、工事の諸経費(間接費)にあたる部分の調査・分析や積算方法の制度作り等の実績があります。
(3)公共事業の執行支援(CM)
 マネジメント分野における、三つめの流れがCMです。CMは事業の工期遅延や予算の超過などを防止するため、発注者の補助者・代行者であるCMr(Construction Manager)が事業全般(設計・発注・工事の各段階)を監理していくものです。

現地における打合せ

 業務としてのCMは、1996(平成8)年に大分県別府市の立命館アジア太平洋大学アクセス道路工程計画の業務を受注したのをはじめ、2001(平成13)年に大分県大分市のスポーツ公園現場技術業務、さらに2008(平成20)年には、愛知県豊田市から雨水調整池建設事業を受注するなど実績を重ねました。豊田市の雨水調整池建設事業は、CM活用の国による支援制度を豊田市が利用したもので、自治体に人手が不足する場合や、十分な技術的蓄積がない場合などに適用されます。
 その他の当社を代表する業務としては、2002(平成14)年から2013(平成25)年まで、継続的に携わった胆沢ダムのCM業務があります。胆沢ダムは岩手県奥州市に建設された多目的ダムですが、当社は大手ゼネコンと設計共同体を組み、現地にCM室を設けてCM業務を担当しました。業務の内容は、材料評価などの技術管理、工事間の施工調整および設計照査・コスト縮減提案など、多岐にわたりました。
 こうした経緯を辿るなか、2011(平成23)年に発生した東日本大震災からの復興にあたっては、被災自治体の人手不足を補うために、CM方式を用いた事業推進が広がりました。当社でも岩手県釜石市や宮城県女川町などにおいて、CM方式を用いたまちづくり復興支援を行っています。また、福島県、東北地方整備局においても復興に係る河川、海岸および道路のCMを展開しています。
  

CM分野の今後の展開について

 東日本大震災の復興関連の業務が一段落しますと、CM業務はそれほど活発には発注されなくなると見込んでいます。しかしながら、震災復興のためのCM業務が数多く発注されたことで、民間を活用することの有用性に対する発注者側の理解が深まりました。これからも、CMを活用した場合のメリットがあることを発注者にも示し、発注者の手薄なところを支援する方法を提案することができれば、さらに市場が広がる可能性があると思います。
 現状では、発注者が求める高度な技術力を持つ人材の不足感は否めません。外部人材の導入もなかなかうまくいかないなど、現場の実態としてはかなり厳しいものがあります。さらなる事業拡大を目指すためには、まずは人材育成が極めて重要になってきます。さまざまな課題はありますが、まずは人材育成に力点を置く必要があると考えています。

CM分野のトピックスについて

CM事務所にて打合せ

 当社のCM業務のトピックスとしては、やはり東日本大震災関連の業務が挙げられます。岩手県釜石市の復興事業CMでは、東日本大震災以前から都市計画マスタープランの見直し業務などを受託していたこともあり、震災直後から釜石市の支援要請を受けて、積極的な支援を行ってきました。市役所や地元住民など、さまざまなステークホルダーに対応しながら、復興事業を円滑に進めていくために事業の総合マネジメントを実施しています。業務の内容としては、発注支援業務、事業管理業務、建設工事監理支援業務など多岐にわたります。
 また、宮城県女川町のCM業務では、まちづくり整備事業コーディネートを実施しています。女川町では、町の事業に加えて国道、県道、河川、漁港、港湾などの複数の管理主体が密接に関わっています。そのため管理主体同士の横の情報交換や、スケジュール調整を図りながら全体の事業をコーディネートしなければなりません。まちの復興事業を迅速に進めながらも、情報共有やリスクの低減をはかるためのさまざまな取り組みを実施しています。
 

住民説明の様子

 現在、こうした復興事業の中心は福島県に移りつつあり、国や業界が総力をあげて福島の復興に取り組んでいます。当社は福島第一原子力発電所の北に位置する相双地区において、河川、海岸における工事のCM業務を一手に引き受けています。具体的には防潮堤の整備、河口部の河川堤防の整備などです。非常に広い地区が対象となりますので、設計や施工の各段階においてCM業務が発注されることになりました。
 また、福島では県の職員の大半が原子力発電所の復興関連事業に派遣されていますので、全県的に人手が不足した状態になっています。このため福島県中通り地方を所管する県の事務所からもCM業務が数多く出され、当社も受注しています。

CM分野に携わる専門家として、仕事に対する信条などがありましたら教えてください

 CMは現場に行き、自分で経験して仕事を覚えることが大変重要です。まれに、「マネジメント」という言葉を誤解している人もいるように思いますが、手足を動かさなければ仕事は覚えられませんし、机上で管理するだけでは真のマネジメントできません。失敗も含め、経験を積み重ねて、私は技術者として育ってきました。実際に経験することで、はじめて部下や他の技術者に対して適切な指示も出せるのだと思います。
 まずは、発注者の要請に応えられる高い技術力を身につけることが必須ですが、複数の部門に関わる業務の調整や発注者に代わって住民説明をしたりする機会も多くありますので、コミュニケーションスキルのある人材が求められます。業務全体を取り仕切るだけではなく、何でも相談し合える雰囲気を作り、いろいろな要望に柔軟に答えられる素養もあればさらに強みになります。そうした資質を持った若い方にはぜひマネジメント部門に興味を持って欲しいと思います。

インタビュートップへ戻る