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第6回 道路・交通・鉄道分野(その2・道路設計)

未来の人の視点に立って設計する

東京本社 道路・交通部次長 / 東北支社 総合技術部道路室長 (兼務)森藤 敏一

Profile

入社年:1987(昭和62)年
略歴:大学では土質工学を学ぶ。入社後、道路計画・設計の部署に配属となり、道路設計を中心に担当し現在に至る。2014(平成26)年から東北支社道路室長兼務となり、東京と仙台を行き来している。
専門:道路設計の中でも、高規格道路(高速道路)やバイパスなど新規路線の設計を得意とする。
趣味:世界のビールのラベル集めなど。現地での収集にこだわる。近年は海外旅行の機会がなくコレクションが増えないのが残念。

道路設計分野でのこれまでの取り組みを教えてください。

中部横断自動車道が長野新幹線と交差する地点

当社の道路部門は、当初は道路の設計業務が中心でした。その後、次第に計画を専門とする技術者も育ち、計画業務と設計業務の両方に対応できるようになり、業務の種類も対象地域も広がっていきました。現在では、道路計画・道路設計とも道路部門の屋台骨となっています。
近年の道路事業では道路建設の必要性やコスト縮減など、国民に対する説明責任を果たすことが厳しく求められています。当社は、設計と計画の連携により、様々な観点から道路整備の必要性をわかりやすく説明したり、工事にあたってのコストの縮減策など事業の効率化を提案したりしています。たとえば、高速道路が既存の鉄道と交差する場合、一般的には道路を跨線橋にして鉄道の上を通しますが、私が担当した中部横断自動車道の長野県区間では、長野新幹線と交差する箇所を跨線橋にするととても長い橋梁にする必要がありました。この対応検討にあたり、道路を新幹線の下にくぐらせることによって、大幅な工事費用の縮減を実現することができました。新幹線の橋脚ができていましたので、それらをうまく避けて、かつ見通しも妨げない線形を工夫しました。この区間は、2011年3月に供用開始しています。

「道路構造令の解説と運用」表紙(公益社団法人 日本道路協会)

道路の設計と計画の両方に対応できる会社のひとつとして、2003(平成15)年度には「道路構造令の解説と運用」の全面改訂にも携わりました。「道路構造令」は、道路法に基づき、道路を新設または改築するときに、道路の構造の技術的な基準を定めた政令です。これを実務で使うためのいわば教科書ともいえるものが「道路構造令の解説と運用」です。改訂には様々な苦労がありましたが、この本の中には改訂に深く関わった担当者として、当社の4人の技術者とともに私の名前も掲載されています。

道路設計分野における今後の展開について教えてください。

今後は新規路線も少なくなってくると想定されますがで、大都市の交通混雑や地方部の高速道路のミッシングリンク(未整備区間)など課題は山積みです。また、少子高齢化社会を迎えるにあたり、すでにある道路の「効率的な維持管理」や「効果的な活用」に配慮した計画・設計を行うことが重要になってくると思います。
従来の道路設計は「線」を考えるものでしたが、今後は道路の効果を、線だけではなく面に広げていくために幅広い知識が必要になると思います。幅広い知識を活用して、防災面を考えたり、人の暮らしをより豊かにする道路を考えたりすることができればと思っています。たとえば、地域防災の中では、避難とか物資の輸送などの要件を満たすために、道路が地域とどのようにアクセスするのがよいのかということを、広い知識の中から選択していくことが求められます。そういう意味で、当社は防災、情報、都市計画、橋梁、河川構造物設計などさまざまな分野の技術者がいるので、総合コンサルタントとしての強みを発揮することにより、より深みのある成果を提供することができます。

道路設計分野でのトピックスについてご紹介ください。

東北管内復興道路などにおける当社の受注業務(①~⑮)

道路部門としては、東北の復興支援は大きなトピックになりました。東日本大震災以降、復興のための道路設計に携わっています。三陸沿岸道路の7つの区間における道路予備設計、詳細設計を担当しました。また、東北中央自動車道についても、一部区間の予備設計や詳細設計を担当しています。東北地方の道路の復興支援業務には東京本社と東北支社からなるグループを作って担当しており、社内でも特に力を注いでいる事業といえます。グループのメンバーが頑張ってくれたことにより、発注者からも評価されています。
国が管理する三陸沿岸道路などの復興道路の設計は、終盤にありますが、地方自治体が管轄する道路の計画や設計は、まだこれからといってよいでしょう。当社としてはこれからも支援を続けていく予定です。
また、今回の震災では、道路が果たした防災機能に注目が集まりました。費用対効果だけで道路を造るか造らないかを決めるのではなく、避難経路や物資運搬、孤立集落対策など、防災機能を担うことのできる道路を造ることが課題になっています。これらの課題を踏まえた道路の計画や設計は、今後も注目されるところです。

道路設計に携わる専門家として心にとめていることは何ですか。

道路は、長く使われていくものです。設計者である私がいなくなったあとでも、ちゃんと使われ続けなければなりません。後々まで、使う人がずっと困らないような設計をしなくてはいけないと思っています。長く使われるためには、あるべき機能を発揮するための維持管理のし易さであったり、利便性であったり、交通事故が少ないことであったり、周囲に溶け込む景観であったり、ということが確保されている必要があります。後々まで残っていくことを意識しながら、未来の人がどう思うかを考えて設計するようにしています。

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