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第8回 河川・海岸分野(その2・河川構造物設計)

技術力日本一のコンサルタントを目指し、技術で社会貢献する

大阪本社 水工部長李 圭太

Profile

入社年:1991(平成3)年
略歴:学生時代は、土木工学科で地下水を専門としていた。キャリア採用での入社後は、一貫して大阪本社で勤務し、道路・橋梁部門に9年在籍している間、得意な地盤構造の解析を活かし道路や橋梁の設計を行う。その後、都市部門を経て、水工部地盤構造室長となる。2012(平成24)年より、水工部長。
専門:地盤工学。堤防などの土構造物の評価・設計や地中構造物の評価・設計を得意とする。
趣味:ゴルフ。年50回コースに出るのが目標。

河川構造物設計分野でのこれまでの取り組みを教えてください。

鳴鹿大堰(所在地:福井県吉田郡永平寺町)

当社は、河川系に強い総合建設コンサルタントとして、かねてから継続的に、河川管理施設、海岸保全施設の設計に携わってきました。具体的な施設としては、護岸をはじめ、水門、樋門・樋管、放水路などがあり、大規模な堰の設計も行っています。また港湾施設の設計も手掛けています。
近年では、高規格堤防(いわゆるスーパー堤防)の検討や設計、河川堤防を浸透や侵食、地震から守る質的な強化への対応も行っています。また、東日本大震災以降、堤防だけでなく河川構造物全般の耐震対策に関する調査・計画・設計も多く行っているほか、河川施設の長寿命化や維持管理などの検討も受託しています。つまり、施工以外のすべてのことに対応していると言えます。

淀川大堰(所在地:大阪府大阪市)

私自身は、入社時には道路設計の部署に配属され、道路設計にあたって必要となる地盤構造を検討する仕事に携わっていました。その後、道路も含めた都市づくりの地盤構造を検討する部署に異動し、地中構造物の評価・設計などを担当しました。そして、現在は河川構造物の地盤構造を専門としています。道路であれ河川であれ、地盤の上に存在することに変わりはないので、違和感なくそれぞれを担当してきたと思います。地盤構造の技術は、地盤工学会や大学院などで勉強しながら、この道のプロフェッショナルを目指しました。博士の学位は「河川堤防における安全性評価に関する研究」をテーマに、社会人20年目になる2008年に、京都大学で取得しました。
地盤や岩盤などの専門分野に特化した建設コンサルタントもありますが、総合建設コンサルタントとして地盤の調査や解析・検討から、計画・設計・維持管理まで一連に精通するコンサルタントになりたい、技術力で日本一のコンサルタントになりたいとの信念のもと、勉強を重ねてきました。

河川構造物設計分野でのトピックスについてご紹介ください。

技術開発は、総合建設コンサルタントにとって不可欠な取り組みです。技術開発に関するトピックスを紹介します。
2004年の新潟・福島・福井での洪水災害では、堤防決壊を伴う河川災害が多く発生しました。それ以降、河川堤防が決壊に至ってしまう原因である堤体内浸透に対応するため、堤防の質的な強化が全国で進められてきました。当社では、この河川堤防の質を調査するための技術開発を学識経験者との共同研究で取り組んでいます。河川堤防を対象に、現地での浸透試験をするための試験機(マリオットサイフォン)を開発したり、より現地の状況に近いサンプルを用いた試験方法の提案を行ったりしています。

マリオットサイフォンを使った浸透試験の様子

透水試験機「マリオットサイフォン」

 

また、調査機器の開発だけでなく、実際の対策工の開発も行いました。浸透により堤防が決壊する前に、堤体内の圧力の低減を図る「ウェルドレーン工法」などはその例です。

ウェルドレーン(完成)

ウェルドレーン(施工中)

河川構造物設計分野の今後の展開について教えて下さい。

河川管理施設は、土などの自然材料を用いることもあれば、コンクリートや鋼などの人工材料を用いることもある、幅広い材料で造られた施設で、材料の組み合わせも多様です。また、被災の原因となる外力も、洪水、高潮、津波、地震など様々であり、河川管理施設が被災するメカニズムは、すべてが解明されているわけではありません。
われわれは、被災しにくい河川管理施設を計画・設計するために、技術の研さんを積み、更なる技術開発を進めていかなければなりません。
そのためには、次世代の技術者を育てることがとても重要と考えています。私は上司に恵まれて、技術を磨くことの大切さを教えられました。同様に若い世代にも技術研さんの重要性を教える必要があります。私も技術論文を書きながら勉強しましたが、若い技術者にも技術論文を書いて発表することを勧めています。優れた技術を身に着けることで、際立った提案ができ、業務受注につなげることができます。また、優れた技術を使って仕事をすることが、社会貢献につながると考えています。

河川構造物設計分野に携わる専門家として心にとめていることは何ですか。

恩師から教示された「子々孫々まで迷惑がかからないものを残す」ことを心にとめています。建設コンサルタントは、調査・計画・設計・維持管理と、施工以外の部分を受け持っています。維持管理を含めると、とても長い時間、自分の設計したものが世の中に存在することになります。このため、より長く効果を発揮する施設を設計することを心掛けています。
業務にあたっては、必ず現地に行き、五感で現地の状況を感じ取るように心がけています。特に視覚と触覚はフルに活用するようにしています。また、業務を行う際には、発注者や社内プロジェクトチーム全員の意思疎通を大切にしています。よく議論し、お互いの認識を共有することが大切です。発注者を通じた周辺住民の方々の意見や要望には特に心を配るように心掛けています。それにより「子々孫々まで迷惑のかからないものを残す」ことができるのではないかと考えています。
最後に、わたしの技術者としての使命は「このすばらしい地球を、より良く、より快適にすること」だと思っています。

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