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CTIナビ 技術分野エキスパートに聞く

第10回 エネルギー分野

被災地復興、地域活性化に貢献するエネルギー分野

東京本社 地球環境センター次長松嶋 健太

Profile

入社年:2006(平成18)年キャリア採用
略歴:学生時代は大学院の理学研究科生物学専攻で生態学研究室に所属し、湖の物質循環などを研究していた。前職は廃棄物コンサルタントで廃棄物処理施設の環境アセスメントを担当。当社に入社後、環境アセスメントなどの環境関連計画の策定、地球温暖化対策の検討や調査を経て、近年は、当社におけるエネルギー関連のパイオニアとして、調査・計画・設計を主に担当している。2013(平成25)年から現職。
専門:前職在職中に、4つの技術士(建設部門・建設環境、環境部門・環境保全計画、衛生工学部門・廃棄物管理、総合監理部門)を取得。現在は地域のエネルギー関連計画、省エネ診断、省エネ改修計画、それらの発注者支援や導入可能性調査、事業化支援などを中心に担当している。
趣味:ゴルフやスキーのほか、子供たちとの釣りが好き。週末の楽しみはジムで汗を流した後の晩酌。

エネルギー分野での当社のこれまでの取り組みを教えてください。

 ダムの水力発電は、会社設立当初から当社の得意するところだったと聞いていますが、エネルギー全般を扱うようになったのは、2005年に東京本社に環境システム室が発足してからのことです。当初は、地球温暖化対策の一環として省エネルギーや再生可能エネルギーの導入を検討していました。
 当社でエネルギー分野が本格的にクローズアップされたのは、東日本大震災以降です。津波による福島第一原子力発電所の事故で電気の安定供給に注目が集まりました。それに応えるため、まちづくりの中に再生可能エネルギーを位置づけること、つまりスマートコミュニティ※)の取り組みが検討され始めました。

※)スマートコミュニティ:エネルギーを賢く(スマートに)使うまちづくり。エネルギーの供給側と需要側をIT(情報技術)などで連結して最適活用を進める「次世代送配電網(スマートグリッド)」を基盤としたまちづくりのこと。

 再生可能エネルギーに関するこれまでの実績として、太陽光発電、小水力発電、バイオマス発電の調査・計画・設計、風力発電の設置可能性調査などがあり、マイクログリッドの設計も行っています。マイクログリッドとは、小規模な送配電システムですが、例えば長野県内のある自然公園には、電力供給のない区域があり、そこに太陽光・小水力・バイオディーゼルを組み合わせて発電システムを構築する、という検討を行いました。異なった電源を用いる場合、周波数の調整などを行うシステムが必要になりますが、これを当社の情報部などと協力して解決していきました。このほか、横浜市や北九州市など国内の先進自治体におけるスマートコミュニティの構築でも実績を積み重ねています。また、海外でもモザンビーク、インドネシア、タイなどを対象に、スマートコミュニティの検討に取り組んでいいます。

小水力発電の実証試験(大分県日田市)

エネルギー分野でのトピックスについてご紹介ください。

スマートコミュニティ構築の視点(出典:公益財団法人特別区協議会「スマートコミュニティガイドライン」)

 再生可能エネルギーは、環境に配慮したエネルギーであるという側面が強調された時期がありました。しかし、現在では、再生可能エネルギーは地域の資源、つまり太陽光、水、木材などを活用することから、地域活性化につながるという認識に変わりつつあります。これを初めてガイドラインで示したのが、当社で担当した総務省の再生可能エネルギーガイドラインです。
 地域活性化や地域の持続可能性確保の観点からも、スマートコミュニティの導入を積極的に進めるべきと考えていて、東京都内の62市区町村ではスマートコミュニティ導入に関する研究を行っていて、当社はその研究支援を2012年から継続して担当しており、「スマートコミュニティガイドライン」(図)の策定などを行ってきました。今後は東京都内の各自治体でスマートコミュニティを事業化する動きが見られると思います。特に2020年の東京オリンピックに向けた取り組みが加速するでしょう。
 また、もう一つのトピックは、釜石市です。当社は、東日本大震災の発災直後から、釜石市のスマートコミュニティ構築の支援を行っています。当社自身が公営住宅の屋根を利用した太陽光発電の事業者になることも含め、釜石市のスマートコミュニティプロジェクト全体のプロジェクトマネージャーとして、関連企業を牽引しています。

エネルギー分野の今後の展開について教えて下さい。

 大きくは二つの問題がエネルギー分野の今後の展開を左右すると考えています。
 ひとつは、地球温暖化問題です。世界的には、地球温暖化による影響を抑制するため、温室効果ガス排出量を2050年までに80%削減することを目指しています(2009年G8サミットでの合意事項)。地球温暖化対策を進めるためには、化石燃料の利用を削減し、再生可能エネルギーの導入や省エネなどによりエネルギーの低炭素化を進める必要があります。
 ふたつ目は、東日本大震災以降のわが国のエネルギー問題です。震災前は、エネルギーは大手電力会社やガス会社が安定して供給してくれるものという認識でしたが、それが覆されました。これからは、地域(自治体)が自らの地域のエネルギーをどのように配置するのかを考えなければなりません。国内でも電気やガスの自由化が進むなど、これまで独占的に供給されていたエネルギーが市場として開放される方向にあります。
 このため、エネルギーを巡る様々な取り組みが今後さらに本格化していくでしょう。当社にとっても、これからが正念場です。社会資本整備にかかわる技術サービスを強みとしている当社は、地域の基盤づくりと連動したエネルギーシステムの導入を提案できる、という点で強みを発揮できると考えています。

エネルギー分野に携わる専門家として心にとめていることは何ですか。

釜石市で子供たちに教える松嶋

 日本は人口減少化社会に入っており、各地で過疎化が進行する局面に来ていると思います。この過疎化していく地域をエネルギー面から効率化させ、地域の資源を活用して地域活性化につなげる、ということがスマートコミュニティの導入で可能になります。これは、私が仕事をするうえで、ひとつの信条になっています。先ほどお話した釜石市におけるスマートコミュニティプロジェクトでは、ここで失敗したら日本全体のスマートコミュニティの導入が失敗する、という意気込みで対応しています。
 ただ、スマートコミュニティは、まだまだ新しい考え方ですので、地域の皆さんへの浸透が十分ではあるません。釜石市では、子供たちにエネルギーに関することを理解してもらうことが大人の理解につながるという発想で、子供たちへの環境教育を試みました。写真は、釜石市の学童保育でエネルギーの話をしているところです。
 スマートコミュニティを構築することは、地域経営※)にもかかわってきます。エネルギーの事業化は地域に収益を生み出します。今後は、私たちが地域経営に参画することも視野に入れ、エネルギー分野の取り組みを大きく展開していきたいと思っています。

※)地域経営:地域の経済、文化、自然環境などを総合的に発展させることを目標としてマネジメントすること

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