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第12回 維持管理分野

インフラ施設を、いつまでも当たり前に利用できるようサポートする

東京本社 インフラマネジメントセンター長立山 晃

Profile

入社年:1999(平成11)年10月キャリア入社
略歴:大学では耐震研究室で模擬地震波の解析を行う。前職のゼネコンで、設計と施工を半々で経験。設計・施工の両方を経験する中で、設計をメインにやっていきたかったこともあり、当社への転職を決めた。当社では、まず東京本社技術第四部(現構造部)に配属になり、新規橋梁の設計や耐震補強設計を担当。その後、財団法人道路保全技術センター(2011(平成23)年解散)に3年間出向し、橋梁の維持管理全般について計画・検討等を経験する。当社に戻った後、アセットマネジメント室長を経て、2014年からインフラマネジメントセンター長となり、現在に至る。
専門:橋梁点検、補修設計、耐震補強設計、長寿命化計画など、橋梁の維持管理全般
趣味:バイクに乗ったり、いじったりすること。パイロンの間をスピードを出して走る練習会への参加やキャンプ道具を積んでのんびり一人旅などを楽しむ。

維持管理分野における当社の取り組みを教えてください。

 当社の維持管理部門は、橋梁の維持管理を対象としてスタートしました。2004年に業界内に先駆けて維持管理の専門部署である「アセットマネジメント室」を立ち上げました。アセットマネジメント室では、橋梁点検や補修設計に加えて、点検結果の分析に基づく劣化の進行予測、長寿命化計画の策定や、それらを支援するシステムの構築、点検要領・補修マニュアルの作成などを行ってきました。その後、東京本社構造部の点検・補修系のメンバーが合流し、2013年に「インフラマネジメントセンター」に改組しました。
 インフラマネジメントセンターでは、維持管理の基本となる検討・計画系業務、その応用編であるデータ分析・解析業務、橋梁の点検と耐震補強設計・補修設計業務などを担当しています。
 当センターには、これら業務と並行して大切な役割があります。それが維持管理に関わる全社のセンター機能としての役割で、橋梁で先行している維持管理技術を他分野に展開し、全社的に維持管理技術を向上させる取り組みです。例えば、当センターで開発した点検ロボットと、他分野で開発した技術をとりまとめて、社内で活用するための勉強会を開催したり実際の機器を用いた体験会を開催したりしています。また、それらの技術を業務で用いるためのサポートを行ったり、当社で開発した技術を維持管理系の展示会などで紹介することもしています。

「メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2015」での出展

橋梁点検車を用いた点検

維持管理分野の今後の展開について教えて下さい。

 道路の維持修繕に関する省令・告示が2014年7月に制定され、橋梁・トンネルに代表される道路を構成する施設などは、国が定める統一的な基準により、5年に1回の頻度で近接目視による点検を行い、その結果を記録・保存し、健全性の診断を行うことが義務付けられました。全国に橋梁は約70万橋、トンネルは約1万本あります。これまでは、双眼鏡などを用いた遠望目視で行っていたり、市町村などでは点検がされていない施設も多数ありました。そのような状況の中で全国一律の基準による点検が求められているのですが、その体制が確保できず一部の現場では混乱が生じているのも実情です。人の力だけによる対応では無理があるため、技術開発によって高度で効率的な点検手法を確立することが求められているところであり、国土交通省や経済産業省でも点検ロボットの開発を支援しています。当社でも、UAV(無人航空機)を用いた点検技術の開発や、橋の下にぶら下がる点検ロボットの開発を進めています。各社が競って技術開発を進めていますので、当社も大学やロボット製作企業などと協力して積極的に対応しているところです。もちろん、点検結果の最終判断は人間が行うことになりますが、その前段階のスクリーニングや点検記録の効率化に点検ロボットを役立てることができます。
 また、点検ロボットなどのハードの技術開発だけでなく、モニタリング技術や一連の点検作業をマネジメントする技術など、ソフト面での技術開発やシステム構築などにも取り組んでいます。
 国内のインフラ整備は徐々にストックが進み、今後は維持管理が重視される時代へと急速にシフトしてきています。維持管理がメインの時代になれば、どの部署でも維持管理の対応が必要になりますので、来るべき時代に備え、今は当社の維持管理技術をけん引するセンターとして技術力の向上を目指しているところです。

点検に用いるUAV(無人航空機)

橋梁にぶら下がる点検ロボットのイメージ図

維持管理分野でのトピックスについてご紹介ください。

3Dレーザースキャナーによる計測の様子

 古い構造物では竣工図面がなかったり、あったとしても図面の通りに作られていなかったり、竣工後に補強や改良が行なわれていたりするなど、現状を図面で把握できないことが構造物の維持管理における大きな課題となっています。このため、まずは正確に現状を把握することが重要になります。インフラマネジメントセンターでは、昨年3Dレーザースキャナーという計測機器を導入しました。これは、既設構造物を3次元で測定できる機器で、この測定結果で現状の図面を作成し、予定している補修・補強設計図面と重ね合わせることによって、実際の補修・補強の施工が容易になります。

 また、コンクリートの中の配筋状況や鋼部材の板厚など、目に見えないものを把握する非破壊検査機器も導入しています。これらの機器があるだけで、現場で得られる情報は各段に多くなります。これらをうまく活用して、維持管理技術の高度化、効率化を図っていくことも重要です。

維持管理分野に携わる専門家として心にとめていることは何ですか。

 維持管理の時代が来たといわれるようになってずいぶん経ちますが、本当に維持管理が重要だと社会的に認識されたのは、笹子トンネル天井板落下事故に代表される不幸な出来事があってからだと思います。
 インフラ施設は、造ることによるメリットはわかりやすいのですが、使えて当たり前と思われている中で、老朽化などで利用できなくなれば、利用者には多大な不利益が生じますし、事故などあってはならないことです。普段はその重要性に気づいてもらえない仕事ですが、利用者が当たり前に使える状態を保てるように適切に管理していくことのサポートに使命を感じています。
 また、維持管理の技術を身に付けるには、経験が大切です。現場の点検経験や、制約条件の多い補強設計などの経験を積むことも重要ですし、新規構造物を設計する経験も必要です。また、社内外のその分野の専門家とのつながりなども重要な経験の一つです。
 わたしがゼネコン時代に、設計と施工の経験を半々で積んだのは、施工のわかる、つまり現場のわかる設計技術者を目指したからです。維持管理も同じで、机上の理論を理解したうえで、現場を見てポイントに気づけ、判断できる維持管理技術者が求められていると思います。若手技術者には、現場で先輩から多くのことを学んでいってほしいと思うと同時に、新規構造物の設計を経験できるよう設計部署との人事交流などにも配慮していきたいと思っています。

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