1. HOME
  2. 事業案内
  3. CTIナビ
  4. 技術分野エキスパートに聞く
  5. 第16回 環境分野

CTIナビ 技術分野エキスパートに聞く

第16回 環境分野

人と生き物が共存できる国土づくりを提案する

東京本社 環境部次長野口 将之

Profile

入社年:2001(平成13)年 キャリア入社

略歴:農学部卒業。大学では地域計画学を専攻。前職の建設コンサルタントでは、河川やダムの周辺環境整備、地域活性化、景観デザインを手がけ、財団法人へ3年間出向している間に、猛禽類調査に携わる。

当社に入社後は、東京本社環境部において河川・ダム・砂防・道路等の猛禽類調査、環境影響調査を担当。2008(平成20)年4月からグループ企業の株式会社CTIアウラ環境部長、2012(平成24)年4月から株式会社建設技術研究所東北支社環境室長、2015(平成27)年4月に東京本社環境部に戻り、現在に至る。

専門:猛禽類調査、環境影響調査、環境影響評価、河川やダムの周辺環境整備、地域活性化、景観デザイン。国土交通省岩手河川国道事務所の砂防関連業務における猛禽類調査に12年間従事した(管理技術者9年、担当技術者3年)。

趣味:テニス。週末の映画鑑賞や読書。

環境分野における、当社のこれまでの取り組みを教えてください。

猛禽類調査の様子

 当社の環境部門は、1975(昭和50)年に設置された環境アセスメント室がそのルーツとなります。当時は我が国で環境アセスメントの概念が初めて公共事業に導入された時期にあたり、道路、構造、ダム、河川から各部の精鋭を集めてスタートを切りました。その後環境アセスメント室は業務を拡大し、環境計画部や環境都市部などと名称を変更した後、2000(平成12)年に現在の環境部になっています。この間、河川、ダムの環境調査や河川水辺の国勢調査などを脈々と行ってきました。

茨城県小山ダムの環境保全対策(ビオトープ)

 2007(平成19)年には、道路環境を専門とする道路環境室が立ち上げられ、2015(平成27)年に環境部に統合しました。また、環境調査や影響評価だけでなく、自然環境や絶滅危惧種の保全対策、河川環境や生物の知識を活かした環境教育にも取り組んできました。
 直近の取り組みでは、東北支社環境室と連携して東日本大震災復興関連事業の環境影響調査、ヘッドランド等の海岸保全事業における魚類や藻類、底生生物への影響調査、風力発電および廃棄物処理場等のアセスメントにまで裾野を広げています。

環境分野の今後の展開について教えてください。

 これまで河川、ダム、砂防、道路、海岸など、国土保全や国土整備に関わる事業の環境調査や環境影響評価を中心に業務を行ってきましたが、これらの仕事は今後も我々のコアを成すものとして手掛けつつ、現在取り組んでいる再生エネルギーや資源循環における環境アセスメントをさらに発展させていきたいと考えています。
 日本では、都市部への人口集中、少子高齢化や人口減少が進み、里地・里山における人と野生動物、自然との関わり方が大きく変化してきています。そうした中、クマやサル、イノシシ、シカなどの野生動物による人命や農作物などへの被害が多くなってきました。また、シカが山の植物を食い荒らしたことにより、表土が流出しやすくなり、その結果、沢が埋まるという国土保全に関わる問題も発生しています。環境に携わる技術者としては、今後こうした問題にも積極的に取り組んでいく必要があると考えています。
 海外展開に関して言えば、日本の環境調査・解析技術は相当高い水準にあり、国際的な競争力があると思っています。ただし、自然環境への関心や環境保全のニーズは、ある程度社会が成熟しないと発生しません。今後の展開に期待しつつ、機会があれば積極的に参画したいと思います。

環境分野のトピックスについて教えてください。

全社技術研修会での研究発表の様子

 東日本大震災復興関連事業では、復興道路である三陸沿岸道路の環境影響調査や保全措置を東北支社環境室と連携して対応しました。早期の復旧・復興が望まれる中、必要な調査を手戻りのないよう確実に進めるとともに、可能な限りの環境保全に取り組みました。また、岩手県の防潮堤・防潮水門の整備事業の環境影響調査も実施しました。この調査は、工事騒音によってサケなどの魚類が遡上しなくなる恐れのある河川において水中音の測定を行うもので、魚類への影響を評価するものです。
 また、最近は風力発電や廃棄物処理場、清掃工場など、再生エネルギーや資源循環関連事業のアセスメントにも力を入れています。岩手県の高森高原風力発電事業では、環境影響評価法に基づき、環境影響調査の実施、準備書及び評価書の作成を行いました。
 研究開発に関するトピックスとしては三つあります。一つ目は、生物の遺伝子情報を応用した調査・解析です。これは大阪本社環境室が中心となって実施していますが、川の上流と下流に住むカワムツ、カワヨシノボリ、カマツカなどの遺伝子を調べて、河川工作物による分断の有無を確認しようとするものです。結果が出るにはもう少し時間がかかりますが、河川事業による魚類への影響を科学的に見るためのツールとして期待しています。
 二つ目は、環境調査のデータを3次元で調査・表現・解析する技法の構築です。グーグルアースに河川の植生図や環境情報図を重ねることにより、シームレスかつ立体的に情報を確認することができます。また、猛禽類の飛翔軌跡は通常平面図に描画されますが、これに高度情報を与え、3次元で表現・解析することも行っています。さらに、3次元座標が取得できるテレメトリー調査用の発信機・受信機も開発し、実用段階に入っています。
 三つ目は河道内の樹林化の研究です。河川の維持管理における近年の重要な課題として、河道内の樹林化対策が挙げられますが、その課題解決のツールとして、掃流力や水際からの距離、比高などを元に、植生遷移の生起確率を考慮した植生動態モデルを開発し、論文にまとめたりしています。

環境分野に携わる専門家として、仕事に対する信条などありましたら教えてください。

 我々は、様々な事業の中で環境に関する仕事をしていますが、事業の推進と環境保全とはトレードオフの関係になることがほとんどです。環境の技術者としては、まず科学的・客観的なアウトプット(調査成果)を出すこと、そのアウトプットに対し、たとえ事業推進上の課題になっても、中立的な評価を行うことが大事です。ただ、そこで終わってしまってはコンサルタントのミッションを果たしていないことになってしまいます。我々コンサルタントとして重要なことは、その評価結果、つまり事業推進における課題に対し、解決策を提示することです。その点を常に心がけて仕事に取り組んでいます。
 また、環境に携わる若い世代の確保・育成も重要なミッションと考えています。最近、野外で調査を行う学生や若い人たちが減ってきています。環境調査は厳しい自然条件の場所で行われることもありますが、人と生物が共存するためのより良い環境を作るための非常にやりがいのある仕事です。どんどん若い人に興味を持ってこの世界に入って来て欲しいと思っています。

インタビュートップへ戻る