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CTIナビ 技術分野エキスパートに聞く

第20回 下水道分野

下水道分野の新しい可能性を切り開く

東京本社 下水道部長石川 美宏

Profile

入社年:1991(平成3)年
略 歴:大学では土木工学科で衛生工学を専攻。水質分析、大腸菌群数などの研究をする。新卒入社で東京本社下水道部に配属され、管きょ設計の業務に携わる。その後事業場排水調査を担当してから、河川の水質調査・改善業務を手掛けるようになる。浸水対策業務、合流改善業務などで経験を積む。2016(平成28)年4月より東京本社下水道部長に就任し、現在に至る。
専 門:公共用水域の水質改善、都市浸水対策。
趣 味:休日は軽めの登山や渓流釣りを楽しむ。学生時代すし職人を目指して修行しており、時々自宅ですしを握る。

下水道分野における当社のこれまでの取り組みについて

高落差工の水理模型実験

 当社の下水道部門は1975(昭和50)年4月に当時の技術第一部(現ダム部)の部内室として発足し、2015(平成27)年に40周年を迎えました。その間、都市部や水システム部の部内室となるなどの組織改編を経て、2014(平成26)年に東京本社下水道部が設置されました。現在は35名の部員が在籍しており、計画から設計まで下水道分野の総合コンサルタントとしての体制が整ってきている状況です。

 下水道部門が立ち上げられた当時は、なかなか思うように仕事を受注できない状況が続きました。そのため私が入社した1991年頃は顧客も対応業務も限られており、関東を中心とした管きょ設計を主力業務としていました。その後、新たな業務を獲得するために研究・開発を重ね、顧客の要望に熱心に応える努力を続け、都市における浸水対策、水質改善などの計画・設計業務にも展開してきました。現在でも東京都から受注している区部合流改善計画業務は、40年近く当社で継続的に担当しており、受注に苦戦していた時代から当社の下水道部門の強みを生かして取り組んできた代表的な業務の一つです。

 また、つくば水理センターでの水理模型実験による安全で経済的な浸水対策施設(分水工、高落差工、排気工など)についての提案を行うとともに、他社に先駆けて、管きょの維持管理業務(管きょ劣化調査、管きょ更生)や硫化水素ガス発生抑制対策などにも対応してきています。

下水道分野の今後の展開について

 下水道分野が手掛ける業務の範囲は下図のようになっており年々広がっています。
 水洗トイレによる生活環境改善、都市の浸水対策といった水防災、資源・エネルギー循環利用など多くの分野に関係しています。
 このため、他分野との連携も重要となります。たとえば、都市分野の業務例としては、空調などに利用できる下水熱利用の技術があります。この技術は一般にはあまり知られていませんが、グループ企業とも連携して地域熱供給などにも貢献したいと考えています。
 また、橋梁、ダム、トンネルなどと同様に、これからは維持管理系の業務への展開が重要になります。現在の日本の下水道普及率は全国平均で78%ほどですが、今後10年以内にはほぼ必要な整備を完了することを目指しています。そうなりますと、維持管理の事業展開となるわけですが、下水道を管理している自治体では下水道の専門職員が不足しており、人口減少や節水による下水道使用料金収入の減少など、下水道事業運営に大きな課題を抱えています。
 当社は持続可能な下水道事業運営に向けて、ストックマネジメント計画、下水道事業の広域化検討、経営戦略、官民連携手法の導入などについて、自治体などに積極的に提案を行っています。
 私たちは、社会の要請に応えるため、下水道分野の専門家というだけではなく、柔軟かつ多様な提案ができる技術者を目指す必要があると考えています。このような視点に立って、若手人材育成や技術の継承・開発に取り組んでいます。

下水道分野の業務展開

下水道分野のトピックスについて

収穫されたジャガイモ

 下水道分野の最近のトピックスとして、二つご紹介したいと思います。

 一つは、グループ企業である株式会社CTIフロンティアと連携し、下水汚泥を原料とした肥料を使って自社の農地で農作物を栽培し、その肥料の効果特性を分析することにより、下水汚泥肥料の利用促進方策を検討するものです。CTIフロンティアの農場で収穫されたジャガイモは、従来の栽培に比べて良質のものができたという結果が得られています。
 

栃木県鬼怒川上流流域下水道(中央処理区)県央浄化センターの消化ガス発電設備

 二つめは、下水処理場で発生するメタンガスなどの消化ガスを活用して発電する設備の設計です。発電した電力を売却し、その利益により下水道事業の維持管理費の軽減が図られています。また、下水道処理水の再利用や下水道汚泥に含まれているリン等の有用な資源の活用についても検討しています。

 最後に海外展開についてですが、国、地域によって下水道整備状況も課題もさまざまですから、私たちが貢献できることを見つけてグループ企業と連携しながら取り組んでいきたいと考えています。

下水道分野に携わる専門家として、仕事に対する信条などありましたら教えてください。

 地域社会を考えるときに「まち」・「ひと」・「しごと」という見方があると思いますが、生きていくために欠かせないものという意味では「水」・「食料」・「エネルギー」という切り口もあると思います。下水道事業はこれら全てに係わっていますし、浸水対策という防災の役割もあります。そして下水管を流れる汚水や雨水には、私たちの生活や社会活動を裏付けるさまざまな情報が含まれており、この情報を活用して新たな社会貢献ができる可能性もあると考えています。
 今後は、これまで下水道分野が培ってきた技術をさまざまな分野に活用していくことで、「下水道」という用語が、その役割や期待を直感的にイメージできる適切な名称に生まれ変わるよう業務に取り組んでいきたいと思っています。
 私が日々の仕事で心掛けていることは、他分野の技術や動向について積極的に情報を取り入れることです。他分野との連携では人同士のつながり、相互に信頼関係を構築することを常に意識するようにしています。
 これから建設コンサルタントとして活躍したいと考えている方には、専門知識を身につけることはもちろんですが、いろいろな分野に興味を持ち、人間関係を円滑にする高いコミュニケーションスキルを身につけ、総合建設コンサルタントの強みを活かした技術者として活躍できる人材になって欲しいと思っています。

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