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CIMへの取り組みについて

建設通信新聞「CIMガイドライン 一般化への道筋」への寄稿

「CIM導入ガイドライン(案), H29.3」に準じてモデルを作成し、設計者のモデル作成方法の検証と、それを引き継ぐ施工者の利便性を検証する取り組みを行いました。
これを(株)大林組との共同企画として実施し、建設通信新聞へ寄稿連載(13回)しました。


寄稿4 維持管理活用モデルの再整備 地質・土質関連の表現統一を

 われわれ建設コンサルタントは点検や補修・補強設計、長寿命化計画策定など、多くの面で維持管理に携わっている。今回は、この立場での知見をもとに維持管理段階で活用するためのCIMについて考えてみた。
 ガイドラインでは維持管理の対応について、2017年度段階では必ずしも対応の必要はないとしている。しかし、今後の維持管理作業の省力化は国の喫緊の課題として挙げられており、現段階から積極的に取り組む必要があるだろう。効率化のためには維持管理段階からのニーズを十分に踏まえ、必要な情報を活用しやすい形で対象部材のモデルに付与する必要がある。
 ここでは、山岳トンネルを対象に維持管理で必要情報として施工段階で付与してほしい情報を以下に示す。
 山岳トンネル工事は切り羽やその前方の状態を確認しながら掘削している。断層位置や湧水の多い個所など地質状況が変状に大きく影響するため維持管理段階でも大変有益な情報だ。施工段階で修正・作成した地質縦断図をトンネル中心に沿って配置し、断層や湧水位置を明示してほしい。17年度は地質・土質調査関係に対してガイドラインの拡充を行うと聞いているため、この辺りの表現の統一などもご検討頂きたい。
 トンネル本体では、掘削工法や打設手順、補助工法の種類と範囲がほしい。特にコンクリート打ち継ぎ目は変状が生じやすいが、インバートや道路空間内の内装版が配置されているところなど点検時に確認できない個所がある。そのため点検精度の向上に打設手順は必要な情報である。
 これらの情報の3次元可視化によって点検時に留意すべき個所の把握や、変状に対する補修・補強設計時に原因を踏まえた適切な対策工法や補修範囲の設定につながる。
 今回、施工側から受領した3次元モデルには計測データを紐付けた掘削単位と、材料データを紐付けた覆工スパン単位の2種類の分割パターンがあった。維持管理段階では覆工スパン単位で点検結果を記録するため、この分割モデルを利用することになる。ただし、このモデルをそのまま維持管理段階で活用すると、情報が多く煩雑化し必要な情報を素早く確認することができない。維持管理で活用するためのモデルとして再整備する必要を感じた。
 CIMは将来的には1つのモデルで運用することが望ましいが、現段階では実現困難な状況である。まずはガイドラインに示される各段階の活用例を具現化できるモデルを使い分け、効率化を優先すべきではないだろうか。

藤田 玲
建設技術研究所 技術本部新技術推進部主幹

表現には掘削工法や打設手順、補助工法の種類などが望まれる



建設通信新聞 2017年10月6日掲載
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