当社は、1977年に全社の売上高の2%を研究開発費に充当する全社開発費制度を創設しており、2015年以降、毎年9億円を超える研究開発投資を行っています。
一方で、研究開発の成果がなかなか見られなかった課題もあり、そのような課題の解決にむけて、2020年から技術的な研究開発を「事業分野拡大技術(事業開発)」「事業展開最先端技術(技術開発)」「品質・生産性向上技術(品質・生産性向上)」に再編するとともに、短期的に効果を発現する研究や計画的に取り組む研究などに分類し、研究開発を促進しました。また、国土文化研究所での研究開発を促進するため組織も再編しています。計画的に取り組む研究開発においては、専任化の強化によって、成果は徐々に見られるようになってきました。
研究開発投資では、社会情勢の変化に伴い求められる取り組みを勘案し、毎年、複数の基本方針を定め、それらに基づいた研究開発投資のテーマを選定し、技術開発を行っています。特に近年では、激甚化する災害への対応(国土強靭化)やデジタルトランスフォーメーション(DX)への対応、SDGsを中心とした環境・地球規模課題への対応、そしてコロナ禍における「新たな生活様式」への適応などの社会的課題に対してテーマを募集し、研究開発をしています。
また、技術開発だけでなく、人材への投資としては、技術者個々人の専門性や知識が一段と重要視されるなか、科学技術に携わる技術者にとって最も権威のある国家資格である技術士資格の取得支援はもとより、専門性を高め、社員のキャリア形成を支援するため「社会人大学院制度」や「拡大領域能力開発」を設け、博士の積極的な育成に取り組んできました。現在、技術士の比率、博士の数は建設コンサルタントの中でトップを維持しています。
巨大化・頻発化する自然災害から人々の暮らしを守る防災・減災対策の推進、老朽化が進行している各種構造物の維持管理・更新の確実な実施、AIやi-ConstructionをはじめとするICTの活用、海外へのインフラシステム輸出など、社会資本を取り巻くニーズや技術が大きく変化しています。社会のニーズに応えるための新たな事業の獲得や技術の開発、国際的な役割の拡大を実現するためには、果敢な挑戦が不可欠です。また、こうした挑戦を担う人材の育成も欠かすことができません。当社では、将来のあるべき姿を想い描いた上で、さまざまな目的に対応した多様な投資を実施しています。
建設コンサルタントにとって新たな技術開発、新分野への事業展開は、将来の成長のために欠かせないものと考えています。今後とも研究開発投資として、一定規模の投資額を確保するとともに、投資を有効に活用し、安全で安心な社会資本の整備に貢献し、企業価値の向上に努めていきたいと考えています。