MESSAGE

これからも「人」と「技術」を大切にし、
グローバルインフラソリューショングループとして飛躍する

2023年4月に当社は株式会社設立60周年を迎えました。前身の財団法人建設技術研究所(1945年8月1日創立)から数えますと、今年で創業78年です。
CTIグループ社員のみなさまやご家族、当社を支えてくださったすべてのステークホルダーのみなさまに深く感謝し、厚く御礼を申し上げます。

株式会社建設技術研究所は、人と技術を最大の経営資源として、高度経済成長や公害問題、技術革新、内需拡大、バブル経済とその崩壊、地球環境問題など、社会の情勢や課題と誠実に向き合いながらインフラ整備に取り組んできました。
至近10年は、東日本大震災からの復興や頻発化・激甚化する自然災害への対応など、国土強靭化対策に誠実に取り組んできました。さらに、マルチインフラ、グローバルを進めるため日総建、英国のWaterman Group、環境総合リサーチをグループに迎え、市場や業務領域を拡大するなど、日本でトップクラスの総合建設コンサルタントへと成長してきました。
この3年間は、新型コロナウイルス感染症のまん延などにより、事業環境や働き方などが大きく変化しましたが、我々はエッセンシャルワーカーとして、インフラ整備を止めることなく進めてきました。

インフラ整備は日本のみならず世界的にもまだまだ十分ではなく、さらに既存インフラの維持管理も増大するなど、建設コンサルタントの役割や活躍の場は益々拡大すると考えています。特に気候変動やカーボンニュートラル、国際協調などへの対応は、今後さらに強力に取り組む必要があります。
また、国連総会でSDGsの17の目標が採択され、企業への社会的責任の要求はますます高まっています。当社は、CTIグループ・サステナブルチャレンジ推進計画、CTIウェルビーイング宣言・同基本方針を定め、サステナビリティ経営の推進に取り組んでいます。引き続き、持続可能な社会の実現に向けたさらなる取り組みが必要です。

そのためには、10年先の状況を熟考し、その時に我々がどのような姿であるべきかを具体的に描き、どのように取り組むかが鍵です。当社は、CTIグループ中長期ビジョンSPRONG 2030にその姿を描いており、その目標達成に向け全役職員で取り組んでいきます。
これからも人と技術を大切にし、新たな課題に挑戦して企業価値向上を推進して安全・安心な社会の構築に必要なインフラソリューションを社会へ誠実に提供していくことは、当社の不変の姿勢です。この姿勢を、今後10年さらには創業100周年以降を担う次世代にもつなげていきたいと考えています。
未来に向けた人材の確保と育成、技術開発を継続して強化しながら、グローバルインフラソリューショングループとして飛躍することを目指していきます。

2023年4月  代表取締役社長 中村哲己

2023年4月 代表取締役社長中村哲己

HISTORY

株式会社設立60周年(創業78周年)の歩み

株式会社建設技術研究所は、1945年に創立された財団法人建設技術研究所を前身とする、日本で最初の建設コンサルタントです。「誠実」と「技術」を社是として、戦後復興、高度経済成長、環境問題など、さまざまな時代の社会的課題に技術で応え、社会資本整備の一翼を担ってきました。

終戦後の創業期
ダムの設計、水理実験業務の拡大
1945年8月
日本で最初の建設コンサルタントとして、財団法人 建設技術研究所創立
1950年7月
建設コンサルタント業務の本格開始
1958年5月
マリキナダム実験用に多摩試験室設置
[実験施設を有するユニークな建設コンサルタントとして注目される]
主なプロジェクト
東名高速道路沼津愛鷹工区随一の長大橋
(1964年10月~1967年12月工事監理)
社会および土木界の主なできごと
1945年8月
終戦
1959年9月
伊勢湾台風災害
時代の大きな変化に呼応する変革期
高速道路の調査、設計、実験など多数実施
1963年4月
建設技研(株) 設立
1964年2月
商号を(株)建設技術研究所に変更(英文社名:CTI Engineering Co., Ltd)
1971年7月
多摩水質試験室設置
[都市河川の水質悪化が深刻化。業界に先駆け水質保全対策に取り組む]
1975年1月
環境アセスメント室設置
[公害や自然破壊などの環境問題、建設反対などの住民問題への対応]
主なプロジェクト
大阪市淀川大堰プロジェクト(1971年~1980年)
社会および土木界の主なできごと
1964年7月
河川法改正
1964年10月
東京オリンピック開催/ 東海道新幹線開通
1969年5月
東名高速道路開通
1970年3月
日本万国博覧会開催(大阪)
1971年7月
環境庁設置
1973年12月
第一次オイルショック
1978年10月
第二次オイルショック
技術競争本格化に向けて株式公開から上場へ
調査、検討、指針作成などで多自然型川づくりを先導
1983年9月
中期経営方針策定
1987年10月
(株)CTI ウイング設立
1989年7月
(株)CTI グランドプラニング設立
1989年7月
第2次中期経営計画(BIG・CTI)策定
1999年3月
(株)建設技研インターナショナル設立
1999年6月
東京証券取引所一部上場
2001年8月
中長期ビジョン「AQUILA 2005」策定
2002年4月
国土文化研究所設置
2006年6月
日本都市技術(株)がグループに加入
2007年4月
第3次中長期ビジョン「PHOOS 2015」策定
2008年2月
1300人の働き方改革推進本部設置
2010年10月
(株)地圏総合コンサルタントがグループに加入
主なプロジェクト
長野市浅川ダムプロジェクト(1992年~2016年) 一級河川松浦川 アザメの瀬自然再生事業
(2001年~2010年)
不動大橋(2002年)
社会および土木界の主なできごと
1990年11月
建設省(現国土交通省)が「多自然型川づくりの推進について」を通達
1991年3月
バブル崩壊
1991年6月
雲仙普賢岳噴火災害
1995年1月
阪神・淡路大震災
1997年6月
河川法改正 河川法の目的として「治水」「利水」に加え「環境の整備・保全」が追加
1997年12月
京都議定書採択
2000年6月
三宅島噴火災害
2005年4月
公共工事の品質確保の促進に関する法律の施行(通称・品確法)
2005年6月
景観緑3法全面施行
2007年7月
新潟県中越沖地震災害
2008年9月
リーマン・ショック世界規模の金融危機
2011年3月
東日本大震災
「技術と英知」「人」そして未来
未来につづく安全・安心を
2012年1月
東北復興推進センター設置
2013年4月
(株)建設技術研究所設立50周年
2013年4月
インフラマネジメントセンター設置
2013年9月
(株)CTI フロンティア設立
2015年3月
釜石などの太陽光事業へ進出
2015年4月
CTI グループ中長期ビジョン「CLAVIS 2025」策定
2015年7月
(株)環境総合リサーチがグループに加入
2015年11月
(株)日総建がグループに加入
2016年4月
ダイバーシティ推進室新設
2017年6月
Waterman Group Plcがグループに加入
2019年1月
「CLAVIS 2025」の改定
2019年6月
行動憲章改定
2021年4月
(株)CTIリード設立
2021年6月
CTIグループ中長期ビジョン「SPRONG 2030」策定
2022年4月
東京証券取引所プライム市場へ移行
2023年1月
(株)CTIアセンド設立
2023年4月
(株)建設技術研究所設立60周年
主なプロジェクト
女川駅前シンボル/女川町震災復興事業
(2013年~2016年)
社会および土木界の主なできごと
2012年12月
笹子トンネル天井板落下事故
2014年4月
道路の維持修繕に関する省令・告示の制定
2015年9月
国連で持続可能な開発目標採択
2019年4月
「働き方改革関連法」による改正後の労働基準法の施行
2020年2月
新型コロナウイルス感染症の感染拡大
2021年7月
東京オリンピック・パラリンピック開催

PROJECT

未来につづく 安全・安心を

株式会社建設技術研究所は、建設コンサルタントのパイオニアとして、これまで社会の課題に真摯に向き合い、技術力を研鑽してインフラ整備に関するさまざまな課題解決に取り組んできました。
技術革新が急速に進む中、新たな技術に挑戦し、最高のインフラサービスを提供し続けるプロフェッショナル集団として、安全で安心して暮らすことができる社会を未来に向けて創造し続けます。

当社の取り組み、技術力が評価され、近年、賞を受賞したプロジェクトを紹介します。

地域住民の想いを未来へつなぐ
大谷海岸の砂浜再生まちづくり事業
~「第2回グリーンインフラ大賞 国土交通大臣賞」(防災・減災部門)など受賞~
大谷海岸(宮城県気仙沼市)は、年間6 万人を越える海水浴客に親しまれていた白砂青松の美しい海岸でした。しかしながら、東日本大震災により甚大な被害(死者75 人、建物被害946 棟〔地区の48%〕)を受け、地区の象徴であった砂浜は、津波による流失や広域地盤沈降により大きく後退しました。

大谷海岸の防潮堤は、所管の違いから陸側への引堤ができないため、当初は砂浜上に計画されましたが、地域住民が白砂の海水浴場の復活を希望し、自ら有識者を招いて独自の勉強会を設立して地域のあるべき理想像を行政に提案しました。行政側も大谷海岸の所管の変更や関係省庁との調整を行い、地域と協調しながら国道の嵩上げを含む陸側への引堤を実現させました。

当社は、2016 年から6 年にわたり大谷海岸の整備事業に設計や発注者支援で携わりました。行政側の立場に立ちつつ、地域の要望を最大限取り入れた設計となるように、地域や関係機関との協議を重ね、背後地の利活用や景観への配慮、海水浴場の復活などの調整を行い、設計後も発注者支援を通して完成まで奔走しました。

本事業は、地域と協働しながら整備を進め、「第2 回グリーンインフラ大賞 国土交通大臣賞」(防災・減災部門)だけでなく、2017年に「日本自然保護大賞」、2022年には「全建賞」を受賞するなど、各方面で高い評価を受けました。
大谷海岸防潮堤
大谷海岸防潮堤
まちと川をつなぐ空間づくり
白川河川激甚災害対策特別緊急事業(龍神橋~小磧橋区間)
~「2020年度 グッドデザイン賞」「2022年度 土木学会デザイン賞 最優秀賞」受賞~
「白川河川激甚災害対策特別緊急事業(龍神橋~小磧橋間)」は、国土交通省九州地方整備局熊本河川国道事務所が進めた河川改修事業の一部であり、阿蘇を源流として有明海に注ぐ白川の熊本市内の市街地を流れる区間を対象としています。
当社は本事業の中で、景観検討委員会・住民会議を重ね、地域との調和を図りつつ景観や環境などに配慮した河川構造物設計を実施しています。

本事業では、必要な治水機能を確保するだけでなく、河川環境の変化を最小限に抑え、地域住民が日常的に利用できる河川空間を目指しました。また、日常的に川に触れ合うことができる整備を行うことで、非常時の防災意識を高めることを目指しました。

具体的な堤防整備では、治水だけではない価値として①回遊性、②アクセス性、③空間多様性、④安全・安心性を高めることを目指し、自然環境の保全や河川全体の景観形成、住民の意見や利用を考慮した設計を行いました。

この事業は、場所場所に応じたまちと川をつなぐ空間づくりや、日常を豊かなものにしながら住民の災害意識を高める堤防整備をしたことなどが評価され、「2020年度グッドデザイン賞」、「2022年度土木学会デザイン賞最優秀賞」を受賞しました。
計画した3Dイメージ
計画した3Dイメージ
完成した堤防
完成した堤防
大雨による被害の激甚化に備え適切な対応がとれる体制整備を目指して
苫小牧市との共同開発「下水道の大雨管理システム」
~「第15回国土交通大臣賞(循環のみち下水道賞) アセットマネジメント部門」受賞~
北海道中南部(道央地方)に位置する苫小牧市は、国際拠点港湾の「苫小牧港」と北海道の空の玄関口「新千歳空港」のダブルポートを擁し、さまざまな産業集積と豊かな市民生活とが両立している産業拠点です。
苫小牧市上下水道部下水道課計画係は、日常に発生する下水道の維持・管理に向けた整備計画から、中長期を見据えた下水道の整備計画まで、幅広く対応しています。
近年、大雨被害の激甚化が進むなか、より迅速かつ効率的に大雨およびその影響に関する情報を収集し、適切な対応がとれる体制の整備を目指し、当社の汎用クラウド流域防災情報OS「RisKma」をシステム基盤に採用した「下水道の大雨管理システム」を共同開発しました。
このシステムを活用することで、リアルタイムで降雨状況や下水道施設への影響把握が可能になるとともに、自治体職員による現地のパトロールが効率化され、管理負担が大幅に軽減されました。
この「下水道の大雨管理システム」は、少子高齢化に伴う技術職員の不足、激甚化する大雨災害への対応として、当社の汎用クラウド流域防災情報OS「RisKma」をシステム基盤とした大雨管理システムを苫小牧市と共同で開発・導入し、業務の効率化と市職員の負担軽減に資する取り組みであると評価され、第15回国土交通大臣賞(循環のみち下水道賞)のアセットマネジメント部門を受賞しました。
下水道の大雨管理システム
苫小牧市との共同開発「下水道の大雨管理システム」