国土文化研究所は2002年4月に建設技術研究所の研究開発組織として設立以来、さまざまな先端的研究や地域活動、出版活動などを展開してきました。
建設コンサルタントに要請される多様なニーズに応えるためには、従来の土木建設技術の枠を超えた広範な「総合知」が求められます。設立当初、この認識のもと、外部の有識者の参加を得ながら心の豊かさを醸成できる空間(国土文化)を創出するために、知織、技術を結集する「シンクタンク」を目指そうとするものでした。
現在は、この設立当初の精神を引き継ぎながら、CTIグループの新事業展開のための中央研究所機能を付加した組織として、大きく次の3つのグループで構成されています。
Society5.0の実現には、新たな価値を創出できる人材が重要です。CTIグループの新事業展開においても、国際的に通用する技術開発とそれを社会実装できる能力を有するプロフェッショナル人材を育成するために、若手技術者の育成の支援とともに、中堅以上の技術者のリスキリングが求められています。
国土文化研究所では、CTIグループの全ての若手技術者を対象とした人材育成プログラム「IPD(初期専門能力開発)」を推進しつつ、自己学習や研究開発を通じた全ての技術者の資質・能力の向上を図ることにより、次世代のプロフェッショナルエンジニアの育成にも注力してまいります。
これらにより、国土文化研究所は、社会的課題を解決に導く最先端の技術開発とその社会実装を推進するとともに、社会に向けた政策提言を通じて、持続可能社会の構築に貢献いたします。
2024年4月
国土文化研究所長 中村 哲己
国土文化研究所は、株式会社建設技術研究所(CTI)グループのシンクタンクとして、2002年4月に設立されました。設立当時の趣意書には、以下のように記載されています。
「建設コンサルタントをめぐる周辺情勢は、大きな変革期を迎えている。成熟社会を迎えた今日、社会資本の整備や保全のあり方自体が問われており、このため、コンサルタントが主に従事してきた調査、計画、設計、施工管理などの業務内容が多様になってきているばかりでなく、事業そのものの必要性分析や合意の形成手法の提案など、幅広い知識と技術に裏打ちされた判断力が要請されるようになってきた。さらに、われわれが果たすべき役割も、与えられた課題に対する検討報告にとどまらず、整備や保全に際して、さまざまな周辺環境を考慮しながら主導的な役割を果たすことが期待される場面も増えつつある。このような要請に応えていくためには、社会の動向を常に把握しながら、要求される技術や見識、特に従来培ってきた土木建設技術の枠を越えた広範な技術や見識を自ら研鑽し、かつ、その適用方法を積極的に提案していくことが必要であり、それが社会資本整備に携わってきた者の責務である。このため、社内に国土文化研究所を設置し、多方面の識者の参加を得ながら、新しい視点を取り入れた国土の整備、保全、管理、運用などに関する研究やさまざまな活動を行い、今後のコンサルタント事業へ反映させていくとともに、広く社会へ情報発信し、「国土文化」の創出にわずかながらも貢献することを目指したい。」
現在では、「こころの豊かさを醸成する空間の創出」を目的に、研究開発、地域・社会貢献活動、社会への情報発信、人材育成の4つの事業に取り組んでいます。2020年には、政府が提唱する「Society5.0」や国連持続可能な開発サミットの「SDGs」といった時代の潮流を見据え、またわが国が古来より育んできた有形無形の伝統文化や自然・生態系の重要性を踏まえ、2002年の設立以来18年間にわたって活動してきた国土文化事業部に加えて、先端技術の研究チームであるインテリジェンスサービスプラットフォーム(ISP)とインフラソリューショングループ(ISG)を所内に設け、機能強化を図りました。
2024年1月更新
2023年4月 | IPD(初期専門能力開発)を全社的に本格開始 |
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2022年7月 | IPD(初期専門能力開発)を全社的に試行開始 |
2022年6月 | 「子どもが遊びを通じて自ら学ぶ 水辺のプレイフルインフラ」出版 |
2022年4月 | 国土文化研究所 設立20周年 |
2020年10月 | 「今こそ問う 水力発電の価値~その恵みを未来に生かすために~」が一般社団法人ダム工学会著作賞を受賞 |
2020年6月 | 中央区日本橋蛎殻町に移転 |
2020年4月 | 組織改編により、「インテリジェンスサービスプラットフォーム(ISP)」、「インフラソリューショングループ(ISG)」、「国土文化事業部」を設置 |
2019年11月 | 「大人の社会科見学 江戸東京・川のなぜなぜ舟めぐり~シビルエンジニアから聞く川にまつわる話~」および関連セミナーが、「土木広報大賞2019」イベント部門準優秀部門賞を受賞 |
2019年11月 | 「今こそ問う 水力発電の価値~その恵みを未来に生かすために~」出版 |
2018年12月 | 「東京の水網復活研究」が土木学会デザインコンペで優秀賞を受賞 |
2018年10月 | お江戸日本橋舟めぐりが「市民社会を築く建設大賞2018」ベスト・プラクティス部門 優秀賞を受賞 |
2018年7月 | 東京の水網映像を公開 |
2018年6月 | 人材育成プログラム「国土文化カフェ」を開講 |
2017年3月 | 「川のなぜなぜ舟めぐり」が「環境 人づくり企業大賞2016」奨励賞を受賞 |
2016年11月 | 「鉄道駅の美しさ ~日本の駅、ヨーロッパの駅~」出版 |
2016年10月 | 「気候変動下の水・土砂災害適応策 -社会実装に向けて-」出版 |
2015年8月 | 「お江戸日本橋舟めぐり」乗船者数が通算10,000人を達成 |
2014年10月 | 「環境保全・再生のための土砂栄養塩類動態の制御」出版 |
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2014年9月 | 東京以外で初のオープンセミナーを開催(札幌) |
2014年4月 | 客員研究制度創設 |
2013年9月 | 「大人の社会科見学 川のなぜなぜ舟めぐり」を開催(以後毎年実施) |
2012年5月 | 国土文化研究所設立10周年記念研究発表会開催 |
2012年4月 | 「舟めぐり・街めぐりによる新入社員研修」を実施(以後毎年実施) |
2011年11月 | 「舟めぐりを活用した若手社員研修」を実施 |
2010年10月 | 「日本橋美人博覧会」(現EDO ART EXPO)の児童・生徒の書道展に対して、建設技術研究所賞を贈呈(以後毎年実施) |
2009年9月 | 「お江戸日本橋舟めぐり」有料運航開始 |
2009年3月 | 「第5回世界水フォーラム」(イスタンブール)に参加 |
2008年12月 | 初の社外向けオープンセミナーを開催(以後、毎年1~2回開催) |
2008年11月 | 「江戸東京観光シンポジウム」開催 |
2008年11月 | 「大災害来襲」出版 |
2008年8月 | 「江戸東京再発見コンソーシアム」の設立時から参加 |
2007年8月 | 国土文化研究所内に「江戸日本橋観光めぐり事務局」を設置 |
2007年6月 | 「日本橋美人推進協議会」の設立時から参加 |
2007年7月 | 特命研究制度創設(~2015年) |
2007年1月 | 「古都の散策」出版 |
2006年11月 | 「日本河川・流域再生ネットワーク(JRRN)」の設立時から参加(~2019年3月) |
2006年3月 | 「第4回世界水フォーラム」(メキシコシティ)に参加 |
2005年7月 | 「日本の心と文化財」出版 |
2005年2月 | 「美しい景観を創る会」に事務局として参画(~2007年2月) |
2004年11月 | 「河川環境展2004」に「マイクロバブル発生装置」を出展 |
2004年8月 | 国土文化研究所出版第1号となる「社会資本整備の新機軸」を出版 |
2003年3月 | 「国土文化研究所年次報告」vol.1発行(以後、毎年発行) |
2002年6月 | 「名橋「日本橋」保存会」、「日本橋OLクラブ」などに入会 |
2002年5月 | 第1回国土文化研究所セミナー開催(以後、毎年2~4回セミナーを開催) |
2002年4月 | 国土文化研究所設立(初代所長大島一哉) |
東京工業大学 名誉教授 池田 駿介Ikeda Syunsuke
【専門分野】
流体力学、環境水理学、技術者資格、技術倫理
東京海洋大学 名誉教授 苦瀬 博仁Kuse Hirohito
【専門分野】
ロジスティクス、都市計画、都市施設計画など
名古屋大学 名誉教授 辻本 哲郎Tsujimoto Tetsuro
【専門分野】
河川水理、移動床水理、水防災、河川生態、流域圏管理など
京都大学 名誉教授 中川 一Nakagawa Hajime
【専門分野】
水工学、防災工学など
東京大学 名誉教授、
高知工科大学 名誉教授
磯部 雅彦Isobe Masahiko
【専門分野】
海岸工学