2021.03.05
技術・研究
株式会社建設技術研究所(代表取締役社長:中村哲己)は、株式会社エドガ(代表取締役社長:米本大河)の協力を得て、VR(仮想現実)を用いて橋梁定期点検を疑似体験し、橋梁点検に必要な基礎技術を習得するための研修ツールを開発しました。
◆新型コロナウイルスが蔓延するなかで新しい形の研修を
株式会社建設技術研究所では、土木構造物の維持管理業務に必要な基礎技術の習得を目的に、若手技術者向けの現場研修を毎年実施しています。
2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、新しい形式の研修が必要と考え、代表的な橋梁形式の一つである鋼鈑桁橋(こうばんげたきょう)を対象に、VR(仮想現実)により橋梁の定期点検を疑似体験し、クイズ形式で点検のポイントを学習できる研修ツールを開発し、東京・大阪・福岡の各事業所において社内研修を行いました。
今後、さらに開発を進め、他の橋梁形式(コンクリート橋等)やトンネル等のコンテンツを充実させ、当社の社員のみならず地方自治体職員や海外の維持管理技術者の育成などにも貢献していく予定です。
◆特長
(1)橋梁の損傷状況を360度画像で把握できます
VRヘッドセット(Oculus Quest2)を用いて、実際の橋梁を撮影した360度画像内の任意の位置に移動して、橋梁の損傷状況を把握することが可能です。
あわせて橋梁諸元や図面などの点検に必要な基本情報を確認できます。
点検前に橋梁の基本情報を確認
VR研修ツールによる点検の疑似体験
(2)点検のポイントをクイズ形式で学習できます
VR研修ツールでは、移動しながら10個の代表的な損傷を見つけていきます。発見後、損傷個所をクリックすると、損傷に関するクイズが出題され、点検時のポイントを学習できます。
疑似点検後、点検時間やクイズの成績が表示されます。
クイズの一例(排水管の腐食)
桁下の状況、疑似体験後の成績発表
移動しながら損傷を発見
点検概要 説明画面
◆今後の展開
①現地点検講習業務等への展開
2021年度以降:コンクリート橋、トンネル等のVR研修コンテンツを充実させていき、
地方自治体職員や地域コンサルタント向けに実施している現地点検講習業務に活用
2023年度以降:海外の維持管理技術者向けVR研修コンテンツの作成および販売
②現場作業の安全教育への展開
2022年度以降:橋梁点検作業員向け安全教育用VR研修コンテンツの作成
2023年度以降:橋梁以外の点検作業員向け安全教育用VR研修コンテンツの作成