2021.04.16
技術・研究
株式会社建設技術研究所(本社:東京都中央区、代表取締役社長:中村哲己)は、AI技術開発の中心となっている国土文化研究所インテリジェントサービスプラットフォームが主催となり、全国の事業所やグループ会社が参加するAI技術発表会を開催いたしました。
株式会社建設技術研究所は、生産システムなどへのAIの導入をはじめとしたDXを積極的に推進しています。当社のDXの1つの柱となるAI技術については、国土文化研究所インテリジェントサービスプラットフォームが中心となり、実務への導入や更に高度な技術開発を進めております。
今回のAI技術発表会は、実務での導入事例、今後に導入を目指す技術、生産システム改革を可能とする技術などの共有を目的としてWEB会議により開催したものです。WEB会議としたことで、全国の事業所やCTIグループ会社から約200名が参加する大規模な発表会となり、当社のAI技術をCTIグループで共有し、DXの加速化につながる機会となりました。
1.開催概要
■開催日時:2021年4月15日(木)13時~16時
■開催場所:(株)建設技術研究所 東京本社10階会議室を拠点として、全国の事業所、グループ会社をWEBで結んで開催
■主 催:国土文化研究所インテリジェンスサービスプラットフォーム(ISP)
2.発表内容
2.1 業務成果発表(実務事例の紹介)
①火山監視の高度化手法の検討
https://www.ctie.co.jp/tech/tech46.html
・活火山監視を効率化するための、噴火事象検知、ノイズ除去を行うAI技術を開発
・Deep Learning、CNNによる噴火事象検知モデル、ノイズ除去モデルを構築
・今後、実運用に向けて専用PCを導入し、試験運用を実施する。
②浸水把握手法の検討
・河川監視カメラの映像から水位を計測するモデルを開発
・使用技術は、Deep Learning、CNN、セグメンテーション、回帰(水位予測)
・画像から水面領域を予測してその結果から水位を算出する方法と、画像から直接水位を予測する方法の両方を開発
・予測した水位を使って、各種の解析に用いることが可能
③予測レーダ雨量補正手法の検討
・実績レーダ雨量と予測レーダ雨量の現時点の差異を認識し、将来予測レーダ雨量を補正するAIを開発
・使用技術は、Deep Learning、CNN、画像生成
・洪水予測、ダム管理などに応用可能
④侵食・越水による河川堤防決壊検知手法の検討
・堤防の越水決壊実験より得られたデータを活用し、越流水表面の状況から堤体の侵食範囲を検知するAI、侵食の程度を推定するAIを検討
・使用技術は、Deep Learning、CNN、セグメンテーション
⑤AIを活用した下水処理効率化に関する基礎的研究
・下水処理場の運転データを基にAIモデルを構築、効率化に向けたコントロールポイント・課題抽出
・使用技術は、要因・状態空間モデル、XGBoost(勾配ブースティング)、RNNモデル(流入量予測モデル、水処理モデル、汚泥処理モデル)
⑥ダム維持管理データを用いた異常検知手法の開発
・時系列・欠損のあるデータを対象に、教師なし学習による異常検知(外れ値・変化検知)手法を開発
・使用技術は、LSTM(Long short-term memory)モデル、状態空間モデル
⑦渋滞予測システムの開発
・複数のAIモデルを統合したリアルタイム渋滞予測システム
・カメラの動画をもとに、交通量、踏切遮断時間、車両の速度などの解析、踏切通過時間の予測、簡易LED表示板への情報配信などの一連の処理を15分 で可能
⑧橋梁の健全度予測手法の検討
・橋梁定期点検結果のデータを対象に、その判定に強く影響した要因を可視化するAI技術を開発
・使用技術は、アソシエーション分析
⑨道路の凍結検知手法の検討
・AIによる気温予測モデルと路温予測モデルを開発
⑩河川の迷惑・不法行為検知手法の検討
・河川における迷惑・不法行為を検知するAIモデルを開発
・不法侵入車両、ゴルフ練習をする人、たき火・花火、ごみの不法投棄
2.2 自主研究テーマの成果の発表
①河川管理高度化のための画像解析サービス
https://www.ctie.co.jp/news/tech/2020/20201204_65.html
・CCTVカメラ画像から河川水位を算出するAI技術
・CCTVカメラ画像から砂州と河川水面を検知するAI技術
・CCTVカメラ画像から砂州閉塞・開口を判定するAI技術
・分水堰操作に応じた河川水位予測を行うAI技術
・堰の倒伏状況を判定するAI技術
②強化学習によるダム管理高度化
・強化学習とは、システム自身が試行錯誤しながら最適な行動選択を実現する機械学習手法のアルゴリズムのひとつ
・ダム管理高度化を目的に強化学習アルゴリズムを用いた最適操作検討モデルを構築
・ダム下流の被害額が小さくなるようにAIが状態を認識しながら行動を選択し、下流の被害が低減されることを確認
③状態空間モデルを用いた時系列解析
・欠測値の補間、観測値のノイズの除去
2.3 業務効率化技術の発表(生産システム改革に関わる研究開発)
①橋梁点検調書チェックモデル
・データベースに登録した情報と製図したCADデータとの整合性を自動で確認
②プロポーザル参加表明書・提案書作成支援
https://www.ctie.co.jp/news/tech/2021/20210322_276.html