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2024.07.19

地下水中における細菌のDNA情報を用いた水質分類手法を開発しました。

技術・研究

 当社とグループ会社の株式会社環境総合リサーチ(本社:京都府相楽郡精華町、代表取締役社長:西山勝栄)の2社は、地下水の流れや水質分類を行うため、地下水中の細菌のDNA情報を用いた水質分類手法を開発しました。この技術によって、より高精度の建設工事等による地下水影響評価や地下水汚染対策のコンサルティングが可能となります。

1.背景
 建設工事による地下水に及ぼす影響や各種廃棄物等による地下水汚染を検討する際には、地下水の流れの方向を調べる必要があります。一般的には地形による流域区分や、地質構造、水質分類を指標として検討します。このうち、水質分類の一般的手法であるイオン分析は、地下水の水質が地質や地形、土壌などの条件により異なる特性を利用して分類する手法です。ただし、同じ地質や隣接流域では水質の違いが不明瞭となり、地下水の流れを考察することが困難となることが課題でした。

2.技術の特徴
 近年のDNA解析技術の進展に伴い、地下水に含まれるDNAから生息する細菌を検出・分類すること(細菌叢(さいきんそう)解析)が可能となりました。今回開発した技術はこの細菌叢解析を用いて地下水の起源や分類、浸透経路を把握するもので、技術的特徴は以下のとおりです。

  • 環境中には多くの細菌が存在しており、環境条件(例えばpH、酸素、温度など)によって組成が異なることが分かっています。多数の遺伝子を一度に解析する次世代シーケンサーなどの新しい技術によって、地下水に含まれる環境DNAを網羅的に分析することが可能になりました(図1参照)。
  • サンプリング地点ごとに細菌を検出・組成を比較することにより、地下水の流動経路や水質分類を行うことができます。また、従来手法とは異なる有機物由来の情報が得られることにより、水質分類の精度向上が図られます(図2参照)。

 この技術は、地滑り対策工事、トンネル工事、廃棄物処理施設の3つのフィールドにおいて地下水影響の検証に活用し、良好な結果を確認したものです。

 

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1 細菌叢解析の流れ

 

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2 CTIグループ独自の新たな水質分類手法の開発