2025.04.23
技術・研究
当社は、火山噴火時に発生する大量の火山灰が時間変化とともに拡散する様子を定量化する技術を開発しました。この技術を活用し、地方公共団体等が防災対策を立案する際に重要となる、影響者数の推移や道路等に積もった火山灰の処理量を予測するサービスを提供します。
1.背景
内閣府から富士山での噴火をモデルケースとした「首都圏における広域降灰対策検討会報告書」が2025年3月21日に公表され、地方公共団体等は、今後、本報告書をもとに、防災対策を具体化していくことになります。
現在、国が公表している降灰シミュレーション結果は、火口から都心に向かう風の情報をもとに実施されたものですが、地方公共団体等での対策の検討には、その地域に応じた風の設定が重要です。また、現在の降灰シミュレーションは最終的な火山灰の堆積深のみを出力するツールとなっており、地方公共団体等の初動対応等に重要な風の情報や火山灰の時系列での広がりを捉えることが課題となっています。
2.開発した技術の特徴、詳細
(1)火山との位置関係から影響の大きい風向・風速等を抽出するツールの開発
気象庁HPから入手可能な高層気象データより、指定期間の平均の風向・風速の分布を自動で図化するツールを開発しました。これにより、風向・風速で結果が大きく変わる降灰シミュレーションにおいて、地方公共団体等にとって重要な風条件を容易に絞り込むことが可能となります。
(2)時系列での火山灰の堆積深の算定プログラム
国の検討で用いられている降灰シミュレーションのプログラムtephra2(WT)を改良して、火口の上空に噴煙柱が形成され、地上に到達するまでの時間を算定する機能を追加し、時系列で火山灰の堆積深を出力可能としました。国と同様の手法がベースでありながら、計算結果を時系列で取得できるようにしました。これにより、影響者数、火山灰量の時間別の推移といった、地方公共団体の防災対策に重要な情報の取得が可能となります。
3.今後の展望
シミュレーションの更なる高速化を図るとともに、時系列降灰厚の情報を用いて、地方公共団体や施設管理者の防災計画や道路啓開の具体的な対策立案を強力に支援します。
(都道府県・区市町村向け)
(道路管理者向け)