当グループにおけるリスクマネジメント(クライシスマネジメントを含む。)は、リスクマネジメント規程により「企業経営に悪影響を与えるリスクを把握し、想定されるリスクが起こる前に管理するとともに、発生した場合には速やかに対応することによって、リスクがもたらす損失の極小化を図ること」と定義しています。
当グループは、①企業価値の向上、②経営資源の保全と有効活用、③持続的かつ安定的な事業の継続、④ステークホルダーの信頼と利益確保、⑤役職員とその関係者の安全確保を会社経営の基本理念としています。それらを実行するためには、取り組む必要のあるリスクと機会を正しく認識した上で、リスク発生の可能性を低下させ、発生した場合の損失を軽減させる対策を事前に定め、実施することが重要であると考えます。そして、緊急事態発生時には、関係者の被害を最小限にとどめる責任のある行動をとることがリスクマネジメントの一環として必要であると考えています。
上記の基本的な考え方を具体的に進めるため、全社的に体系化されたリスクマネジメントの仕組みを確立し、グループ一丸となって以下の行動方針に基づくリスクマネジメントを積極的かつ継続的に進めてまいります。
当グループは、上記のリスクマネジメント基本方針に沿って適切なリスクマネジメントを推進するため、代表取締役社長を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を設置しています(図1)。リスクマネジメント委員会は、サステナビリティ委員会と連携し、毎年、当グループのリスクマネジメントに係る方針及び施策の策定、中長期的な視点も含めたリスクの洗い出し、リスクの種類、想定されるシナリオ、発生頻度及び損害の程度を評価するとともに、事業や業務への影響度の分析、それらを踏まえた対応策の策定、個別リスクの管理状況の把握・指導監督を行います。また、取組状況を取締役会に報告し、取締役会はこれを審議することにより、リスクマネジメント全般の統制・管理を行います。
リスクマネジメントの実効性を高め、ステークホルダーとの信頼関係を構築するため、CTIグループとして特に取り組む必要のある重要リスクを特定し、リスク発生による影響を低下させる対応策を設定しました。
重要リスクは、図2に示すように、リスクマネジメント基本方針に基づき、リスクマネジメント責任者が外部環境変化や組織内部に起因するリスク(機会は含まず)を抽出します。この抽出したリスクを、被害・損害規模と発生頻度を踏まえてリスクマップ(図3)にプロットして重要リスクとして特定し、さらに内容に応じた各種の対応策を立案します(表1)。これらをリスクマネジメント委員会で審議のうえ、取締役会承認を経て決定します。特定した重要リスクと対応策はモニタリングを行い、PDCAサイクルによる必要な見直しを行います。
リスク領域 | 重要リスク * | 対応策 |
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外部環境変化に伴うリスク | ||
市場 | 過度な価格競争 公共事業予算縮小、市場の変化 技術革新による事業環境の大きな変化 |
DX推進による低コスト化 官民連携、民間市場などへの展開 技術革新や社会変化に対応した研究開発推進 革新技術の速やかな導入 |
基準、法的規制 | 事業活動に影響を及ぼす基準・法律の制定・改正(入契法、品確法、不正競争防止法、民法、会社法、金融商品取引法、労働基準法、労働安全衛生法 等) | 最新情報の収集と速やかな対応 |
気候変動、自然災害、パンデミック | 自然災害や感染症による事業への影響 気候変動対応策への対応の遅れ |
BCPへの速やかな対応と継続的な訓練 新たな感染症に対応したBCPの策定 気候変動対応策に関連する事業への積極的な対応 関連技術取得のための研究開発推進 |
投資 | 企業買収や新事業などへの投資による損失 | 事業環境を考慮した見極め 投資事業の継続的なモニタリング |
人材確保・育成 | 人材の確保・育成の遅延や社外流出の増加による競争優位性の低下 | 積極的な採用活動の継続 多様な働き方の推進 各種研修・教育訓練の充実 |
情報セキュリティ | サイバー攻撃等によるシステム障害や情報流出 | サイバー攻撃に対する体制強化 情報セキュリティ教育の徹底 |
カントリーリスク | 政情不安(戦争、革命、内乱、テロ)、経済政策・情勢の急変、為替変動 経済制裁等による事業活動への影響 |
カントリーリスクに関する情報収集 テロ等が発生した場合の対応強化 事業展開国・エリアの分散、拡大 |
組織内部に起因するリスク | ||
品質・安全 | 契約不適合 安全管理不足による重大事故 |
品質マネジメントシステムの高度化 安全管理教育の徹底 |
技術力 | 技術力の低下 研究開発の停滞等による技術革新への対応不足 生産性の低下 |
技術力強化の推進 計画的な研究開発の推進 生産システム改革の推進 |
人事・労務 | 長時間労働・人権問題・メンタルヘルス不調・ハラスメントの発生による社会的信用の失墜 | 労使協調による長時間労働防止策の推進 人権尊重やハラスメント防止教育の徹底 従業員エンゲージメントの向上 |
コンプライアンス | 会計不正、横領・贈収賄、独禁法違反、知的財産権侵害、インサイダー取引、機密情報・個人情報の持ち出し | コンプライアンス研修・教育の拡充 情報持ち出し防止策の徹底 内部監査体制の強化 |
*リスクだけを記載し、機会は記載していません。