研究開発RESEARCH AND DEVELOPMENT
河川空間は、自然の豊かさや美しい景観を享受できる貴重なオープンスペースですが、ごみの不法投棄、違法・迷惑駐車などの迷惑・不法行為が多発し、現状復旧や注意喚起などの業務が管理者の負担となっています。
その解決策として、公共空間管理の高度化・省力化を目的に、AIを活用した迷惑・不法行為の検知技術を開発しています。実際の河川空間を対象に、本技術を実装した監視システムによる実証実験の結果、迷惑・不法行為のほとんどを見逃さず検知し、本システムの有効性が確認されました。
■AI・データサイエンス論文集(2023年4巻3号)
深層学習による河川空間内の迷惑・不法行為検知に関する実証的研究
■当社リリース(2023.12.22)
「AI・データサイエンス賞 奨励賞」を受賞しました

砂防施設を点検する際は、主に目視により変状箇所を抽出し、健全度を評価しています。一方で、砂防施設は急峻な山間地に整備され、安全性や効率性の観点から施設全体を網羅的、客観的に変状を把握し、健全度を評価することが困難でした。
本研究では、砂防施設の変状抽出を可能にするAIを開発しています。今後も継続して、砂防施設点検に取り込んだ点検手法の検討を行うことにより、さらなる効率化が期待できます。

近年、気候変動や厳しい財政状況を背景として、既存ダムをより有効に活用し、限られた水資源を効率的に管理することが求められています。
本研究では、AIを用いて複数ダムの低水管理における放流操作を支援する手法を検討しました。運用ルールや貯水量、流入量などの条件を踏まえて適切な操作を予測することで、渇水調整を抑制しながら発電量を増加させることができる可能性が示されました。本手法は、ダム運用の高度化や管理者の負担軽減に向けた活用が期待されます。
■土木学会論文集(2025年81巻16号)
複数ダムの低水管理におけるAIを用いた連携運用高度化に関する一手法

近年の水害の多発化・激甚化により、災害発生時に浸水深を迅速に予測・把握することが重要となっています。しかし、従来の氾濫シミュレーションは計算に時間がかかり、多数の条件を検討することが難しいという課題がありました。
本研究では、AIを用いて河川の氾濫による浸水状況を高速に予測する手法を検討しました。本手法は、流量条件を与えるだけで浸水深の時間変化や分布を高精度かつ高速に推定できます。防災・減災分野における迅速な浸水予測や多数ケース検討への活用が期待されます。

構造物の地震による揺れを比較すると、下層から上層にかけて揺れが増幅し、上層と下層の振幅スペクトル比を比較すると、一定の周波数(≒固有振動数)で顕著に大きくなることが知られています。一方、構造物内部で何らかの劣化や損傷(一時的なものを含む)が生じると、固有振動数などの振動特性が変化します。
これらの特性はダム堤体内部のモニタリング技術として活用できますが、これまでは振動特性の変化を目視で確認していたため、労力と時間がかかっていました。そこで、AIを用いてわずかな変化も見逃すことなく検知する技術を開発しています。
■ダム工学(2025年35巻2号)
Autoencoderを活用した地震動データの分析によるダムの異常検知に関する基礎的研究
