研究開発RESEARCH AND DEVELOPMENT

部門横断分野のAI・ICT研究

設計図面照査システムの開発

公共工事における設計ミスは重大な問題です。また、設計成果である図面や設計計算結果の妥当性、および図面との整合性のチェック作業は項目や量が膨大で、人がチェックすると漏れが残る可能性があります。

そこで本研究ではDXを活用し、人が極力介在しないことでミスを可能な限りなくす「設計図面照査システム」を開発しました。図面や設計計算結果の整合性を自動的にチェックするシステムです。これまでは人が網羅的にエラーチェックの作業をしていましたが、自動化によってチェック漏れの懸念が軽減でき、設計成果のミス防止(品質確保)と照査技術者の負担軽減を実現しました。

■当社リリース(2025.04.14)
生産性向上と品質確保に向けた社内(業務支援/自動チェック)システムを開発しました

専門知識を獲得したAIを用いたチャットボットの開発

社内には多くの文章データが蓄積されていますが、これまではほとんど有効活用されていませんでした。生成AIの登場により、生成AIを用いたデータ検索システム(RAG)のサービスが展開されていますが、社内情報を扱うためには外部環境に依存しないシステム設計が必要です。

そのため、自社のクラウド領域内で検索システムを構築し、ユーザーがチャット入力によって自社の文章データにアクセスできるアプリを構築しました。また、当社独自のシステムであるため、自由なカスタマイズが可能で、ニーズに応じた改良が可能です。

■当社リリース(2025.04.14)
生産性向上と品質確保に向けた社内(業務支援/自動チェック)システムを開発しました

録音データから話者分離した自動議事録作成

AIを搭載したWeb会議ツールは多く存在しますが、当社のように機密性の高い情報を扱う場合は、外部ツールを使用できない場面があります。この問題を解決するため、自社のクラウド領域に限定したデータ保存と、音声認識AIを導入し、独立した環境で音声データの文字起こしを実現しました。

本システムは、録音・録画したデータをアップロードすることで、自動で文字起こし、話者分離を行います。また、上記の結果をもとに生成AIが議事録や要約資料を生成します。社内では、これらの機能をwebブラウザから利用できます

IoTシステムの開発

Society5.0の社会では、ヒトとモノがインターネットにつながることでさまざまな情報が共有され、社会の課題解決や新たな価値の創出が期待されています。現状、IoTに関するサービスやビジネスは多数存在しますが、機能・コスト面での課題もあります。

本研究では、センサ類、通信方法、Webシステムなどについて調査・検討し、当社独自のIoTシステムを開発しています。さらに、社内ニーズに応じた実証実験を行い、調査業務の低コスト化、分析の高精度化など、社内業務の効率化・高度化に貢献しています。

■第78回土木学会年次学術講演会概要集(2023年)
IoT機器を活用した水位計測技術に係る研究

3Dモデリング・仮想空間に関する研究

BIM/CIM推進において重要な3次元点群データの実務活用に向け、深層学習を用いた点群セグメンテーション技術を適用し、3次元地形モデリング手法を検討しました。実データに基づき、設計・維持管理に必要な情報を保持しつつ効率的にモデル化できる手法を示し、モデリング作業の高度化・省力化への有効性を明らかにしています。

上記に加え、現実空間を仮想空間上に再現する技術も開発しています。デジタルツイン技術の基盤として、都市計画や自然再生などさまざまな分野への展開が期待できます。

本手法は、可視化のコストを引き下げる技術です。河川・道路分野等の幅広い分野に適用し、設計成果品の照査、景観検討、合意形成ツール等への展開が期待できます。

■AI・データサイエンス論文集(2023年4巻3号)
点群セグメンテーションを用いた3次元モデリング手法の検討 -河川構造物設計・維持管理分野への適用-

仮想空間(デジタルツイン)

因果分析モデルの開発

「なぜ起きたのか」「何を変えれば結果が変わるのか」を明確にするためには、観測された事象から原因と結果が連鎖する因果構造を推定する必要があります。類似した手法である相関分析や回帰分析では、1対1や1対多といった限定的な因果構造の把握は可能ですが、因果の方向性や、複数の要因が複雑に絡み合う多対多の因果構造を捉えるには十分ではありません。

そこで、AIを活用して変数間の関係を効率的に探索し、複雑な因果構造を自動的に推定するモデルを開発しています。現在、インフラ設備の劣化診断などへの適用を進めており、劣化要因の特定や対策効果の把握を通じて、維持管理計画の最適化への貢献が期待されます。

AIが推定した因果構造

3次元設計支援システムの開発

近年、建設業界では、設計情報などの情報を設計・施工・維持管理等の各段階でデジタルデータとして共有・活用していこうとするBIM/CIMの取り組みが進められれています。

本研究では、BIM/CIMの中で重要な情報として位置づけられている3次元モデルを中心とした設計支援システムを開発しています。本システムでは、複数のテンプレートデータを活用して、2次元の図面や構造の安定計算と連動して、3次元モデルを作成することが可能であり、設計の効率化や高度化が可能となります。

■当社リリース(2025.10.09)
「3次元設計支援システム」の機能を向上し、設計業務の効率化・高品質化を進めています ~建設技術研究所の設計革命、そして次世代の標準へ~