研究開発RESEARCH AND DEVELOPMENT

河川・砂防分野のAI・ICT研究

河川空間の迷惑・不法行為検知AI

河川空間は、自然の豊かさや文化景観を享受できる貴重なオープンスペースです。一方で、親しみのある空間であるがゆえに、ごみの不法投棄、違法・迷惑駐車などの迷惑・不法行為が多発し、現状復旧や注意喚起などの業務が管理者の負担となっています。

その解決策として、公共空間管理の高度化・省力化を目的とし、AIを活用した迷惑・不法行為の検知技術を開発しています。さらに、実際の河川空間を対象に、本技術を実装した監視システムによる実証実験を実施した結果、迷惑・不法行為のほとんどを見逃さず検知し、全国の河川管理の高度化・省力化に有効となり得る可能性を示しています。

インフラ施工時の景観写真生成AI

橋梁や堤防などのインフラを施工する際には、国・自治体や地域住民との間で施工イメージを共有し、景観への影響を検討することが重要です。従来では、設計者やデザイナーが作成した図面などを参考にしていましたが、イメージ共有が難しく、効果的な議論ができないケースが多くあります。

本研究では、インフラ施工時の景観写真を生成するAIを開発しています。世界中のあらゆる画像を学習した、既存の画像生成AI(DALL-EStable Diffusionなど)とは異なり、日本式のインフラを専門的に学習した生成AIであるため、国内のニーズにマッチした景観検討への適用が可能です。

AIによる砂防施設の変状抽出

砂防施設を点検する際には、主に人の目により変状箇所を抽出し、健全度を評価しています。一方で、砂防施設は急峻な山間地に整備され、安全性や効率性の観点から施設全体を網羅的、客観的に変状を把握し、健全度を評価することが困難でした。

本研究では、砂防施設の変状抽出を可能にするAIを開発しています。今後も継続して、砂防施設点検に取り込んだ点検手法の検討を行うことにより、更に効率化が図れると考えます。